「驚異のネイチャー3D写真。眼力を高めるパワード・アイ」

 栗田昌裕著。 健学社 2003年11月25日初版発行
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まえがき
1■ 「眼力」は視力だけでなく知能を支える
 目は人間の感覚の中で最高度に発達した器官です。人間は毎分毎秒、目からたくさんの情報を受け取りながら生活しています。
 私たちの受け取る情報の八割もが目から入って来ると言われています。目はまさに情報の窓であり、しかも心の窓なのです。
 だから、目がよいか悪いかが、大きな問題になるのです。実際、目が見えなくなった状態を想像すれば、目の役割がいかに大きいかが容易に分かるでしょう。
 目の働きを、通常の人は、「視力」としてとらえますが、実は視力は「ものを見る」働きのごく一部にすぎません。
 「ものを見る」働きには、目を通して受け取った情報を「判断する」力が大きく関わっていることを見逃してはいけません。
 この判断力が知能を支えています。
 そこで私は「ものを見る」働きを総称して「眼力」という言葉で表現します。
 本書は知能の良し悪しにもつながる「眼力」を高めるための本です。

 2■ 中心視野と周辺視野の違いを知る
 立体視の技術はそのような「眼力」を高め、洗練するために大いに役立ちます。
 眼球に入った光の情報は、水晶体というレンズを通って、網膜に投影されます。
 このとき、眼球の筋肉は、見たいと思う対象からの光の情報が両眼にきちんと届くように調節をします。うまく筋肉が調節されると、光の情報は網膜のもっとも鋭敏なところに届き、識別しやすくなります。この光の道筋を通常は「目線」と呼びます。
 網膜は球面状に広がっていますが、そのうち特に鋭敏な領域を、生理学では「黄斑」と呼びます。これは網膜を眼底鏡でのぞきこむと、そこが黄色く見えるからです。
 黄斑は非常に狭い領域ですが、視細胞が網膜の他の領域よりも高い密度で分布していますので、そこでは対象をより細かく識別できます。したがって、無意識に眼球を動かして、見たい対象の映像がちょうど黄斑に来るように自動的に調節しています。
 黄班の部分でものを見ることを、本書では「中心視野で見る」と言います。
 黄班以外の部分でものを見ることを「周辺視野で見る」と言います。小さい活字を一字一字読むときは主に中心視野を用います。
 それに対して、広がった風景を何げなく見ているときには、主として周辺視野を用いているのです。

眼球の図(略)
目線 網膜 黄斑 中心視野 水晶体(レンズ) 眼筋(3対) 毛様体

3■ 早速立体視の練習をやってみよう
立体視には2つの方法があります。
 「右目で左半分の図を見て、左目は右半分の図を見る方法」をクロス法と言い、「右目で右半分の図を見て、左目で左半分の図を見る方法」をパラレル法と言います。実際に、下の図を二つの方法で立体視しましょう。
   図 略。

[クロス法の仕方]
 目線を寄せて、左目で右図を、右目で左図を見てください。それが出来ているかどうかはウインクをして確認しましょう(ウインクができない人は片手で片目を隠してもよい)。
 正しくできていたら、しばらくその状態を保っていると、脳の働きで、左右の図が重なって、立体的に見えます。中央の小さい四角形が手前に飛び出して見えたら正解です。
 このとき、目線は、一番下の段の右図のようになっているはずです。
 うまく出来ない場合は、顔を少し前後に移動すると、立体的に見える場合があります。

   <クロス法のやり方を示す図> 略。
     クロス法のときは、目と紙の中のどこかを見つめるようにすると、
     目線がクロスして、右目は左図を、左目は右図が見えるようにできる。

[パラレル法の仕方]
 紙の向こうにある遠くのものを見るような気持ちで図を見ます。左目で右図を、右目で左図を見てください。出来ているかどうかはウインクか片目で隠して確認しましょう。
 しばらくその状態を保っていると、脳の働きで左右の図が重なって立体的に見えます。
 中央が奥にへこんで見えたら正解です。
 このとき、目線は、下の段の左図のようになっているはずです。出来ない場合は、顔を前後に移動するとできることがあります。

    <パラレル法のやり方の図> 略。
      パラレル法では、両目の間に下じきのようなものを立てて、
      右目は右半分だけ、左目は左半分だけ見えるようにするとよい。

 やり方が分かったら、写真を視て実際にやってください。どの頁の写真も上がクロス法、下がパラレル法で立体視ができます。

4■ 中心視野だけ用いていると目が疲れる
 日常で細かいものばかりを見ている人を想像しましょう。その人は、たとえば、パソコンの画面や、頁の上の文字を見続けています。
 すると文字がちょうど中心視野で見えるように眼球の筋肉は絶えず働き続けます。
 このときの緊張が持続すると疲れた感じが生まれます。これが「眼精疲労」です。
 眼球の筋肉は左右とも三対あります。それらが働くときには、首や肩の筋肉も連動して動きますので、眼精疲労が生ずるときには、同時に緊張や疲労が首や肩にも生じて、「首こり」、「肩こり」が生ずることになります。
 それだけではなく、一定の距離にある文字を見るときには、目の水晶体(=レンズ)の調節も一定に保つために、その厚さを調節する毛様体という筋肉が絶えず緊張して働き続け、自由に動く力を失ってゆきます。すると、文章から目を離しても、水晶体が自由に動く範囲が狭まっているため、画像を網膜にきちんと合わせることができず、仮性近視などの一時的な視力低下が生ずるのです。

5■ 自然を見ているときは目は疲れない
 それに対して、広々とした青空の下で、ゆったりとくつろいで豊かな自然を見ているときのことを考えましょう。
 何を見なければならないなどということはないので、周辺視野を用いて風景を広く眺めることができます。眼球の筋肉も自由に動いて、何時間楽しみながら風景を見ていても、目も疲れず、肩や首がこることもありません。
 もちろん、そのつど特に見たいものがあれば、中心視野で気楽に見ているのです。
 目はもともと「ものを見る」ための器官ですから、網膜全体で楽しみながらものを見ているときには、疲れることはないのです。
 その上、このような見方をしていると、眼筋はまんべんなく使われ、毛様体もレンズを厚くしたり薄くしたりと、さまざまに働きますから、自然に訓練が行われ、機能が低下することもなく、偏りも生じないのです。
 以上から、眼力を改善する第一歩として、@遠近の両方を見ることと、A周辺視野を用いることとの二点が重要とわかるでしょう。

6■ 速読をすると目が疲れない
 以上の説明から眼力を改善するには周辺視野が重要であることが分かるでしょうか。
 このことを立証する興味深い事実をお知らせしましょう。一般に、本を読み続けると目が疲れて、しかも肩こり、首こりが起きる、という人が少なくありません。その仕組みは、前に説明した通りです。
 ところが、栗田式速読法を学んで訓練すると、本を読んでも目が疲れなくなるのです。
 栗田式速読法は、1987年から指導が開始され、現在までに四万人以上の人が学んだ独創的で実践的な訓練体系です。その訓練開始前に、眼精疲労、肩こり、首こり、頭痛、ストレスなどの不調の度合いを調べておき、十回の講習のうち途中と最後に調べ直してみると不調はどんどん改善しているです。
 その理由の一つに「従来の読書は中心視野だけを用いて読むが、速読法では周辺視野を用いて読む」ことがあげられます。本書で行う立体視の訓練はそのような栗田式速読法の訓練の一部として開発されたものなのです。

7■ 眼力の本質は脳の力にある
 以上は、眼球での出来事について説明をしましたが、「ものを見る」働きの本当に大事なところは脳にあります。目は光の情報を受け取っているだけで、「見て分かる」作業(認識や判断)をしているのは脳だからです。
 網膜に入った光の情報は、視神経という神経を経由して、大脳の後ろにある視覚領(または視覚野)という場所に行きます。
 視覚領では情報はまず一次視覚野というところに行きます。そこは網膜の情報が映されるスクリーンのような場所で、その構造は網膜ときれいな対応がつきます。しかし、そこでは見えたものが何かはまだ分かりません。
 一次視覚野の情報は、さまざまな特徴毎に分解されて、周囲のより高いレベルの情報処理をする領域に広がって、判断が行われ、過去の体験や知識と照合されます。その結果が総合されて、初めて、見ているものが何であるかが「分かる」のです。
 大事なことは、この段階がレベルアップすると視力も改善することです。

8■ 立体視で目と脳の力をともに高めよう
 以上から眼力は「眼球(目)」と「脳」と二段階で成立していることが分かります。
 視力を考える上で、案外このことが分かっていない人が多いことに驚かされることが少なくありません。一般の人は、視力は「目」の問題だと思いがちです。しかし、それは間違いだということが分かったでしょうか。
 眼力が、眼球と脳の二段階の問題に分解できると、それぞれを両方とも鍛えることに意味があることが分かるでしょう。
 興味深いことに、立体視訓練は、その二つを同時に鍛える訓練になっているのです。
 前に説明したように、立体視訓練は、左右の写真を一つに重ね合わせて見る訓練です。
 このときに、@目線を調節して、画像を脳にきちんと届ける段階、A脳に届いた画像が脳で解釈される段階、と二段階があるのです。
 そして@の段階が眼球の訓練、Aの段階が脳の訓練になっているのです。
 まさに立体視訓練は一石二鳥の訓練であることがお分かりでしょうか。

9■ 視覚的知能が高まると能力がアップする
 立体視訓練は1987年に私が提唱した栗田式速読法の訓練の一部ですが、実際の訓練では「周辺視野で広く対象をとらえる眼力」を鍛え、脳に入った情報が「スピーディかつ自動的かつ柔軟に」解釈できるような高度の画像処理能力を鍛えることを目標とします。
 この二段階の能力が磨かれると、一行ずつ読むのではなく、数行ずつ本を読むことができ、速読力が自然に獲得されます。
 すると驚くべきことに、速読力だけでなく他の知的機能も高まり、さらに身体も元気になり、不調やストレスも解消されていきます。
 速読力に関しては、初級では過去420以上の全クラスで平均10倍の読書速度を達成した実績があります。ものごとを見て判断する力を認知能力と呼びますが、それを調べる「迷路抜けテスト」の速度は、初級で平均3倍、中級では平均4.5倍になります。足し算を持続的に行って筆記する能力は、集中力や持続力や頭の回転の速さの目印です。訓練をしないでこの能力を急速に上げることは難しいものですが、初級速読法を学ぶと4割アップ、中級では5.5割アップします。
 以上から立体視訓練が能力全体のアップにつながる技術であることが分かるでしょう。
 能力改善が起きる理由は、立体視訓練が、「視覚的知能」を高めるからです。「視覚的知能」とは私の作った用語ですが、「目にまつわる能力を高めて生ずる従来には十分に働いていなかった知能」のことを言います。
 一般の人が考えている知能は、言語機能が深く関与しているので、私は「言語的知能」と呼んでいます。言語的知能は、内面で言葉を操作して、読んだり、理解したり、考えたり、思考したりするものですが、その際に、聴覚にまつわる脳の領域を主として用います。そこで、「言語的知能」は「聴覚的知能」とも呼べるのです。
 それに対して、言語を経由しないで、視覚に関わる領域だけを高度に活性化すると、従来は思いもよらなかった能力が発達してくるのです。それが「視覚的知能」です。
 それが高まると、読書速度が加速され、同時にその他の変化も引き起こされてきます。
 
10■ 立体視訓練で視力はこれだけ改善する
 立体視を含む栗田式速読法の訓練では眼精疲労と視力が改善することが見い出され、講習前後で平均0.2の視力上昇を認めました。
 そこで眼力を高めるためのクラスを設けて指導したところ、十週間の訓練前後では、裸眼視力の平均値は右目で0.21→0.67、左目で0.22→0.67と改善しました。
 このとき平均値は約3.2倍に上がりましたが、2.0以上の視力は測定できないので、この値は低く見積もられています。そこでひとりひとりの倍率を求めてその平均値を見ると右目は5.3倍、左目は4.9倍でした。
 矯正視力の平均値は、右目で0.86→1.62になり(平均1.9倍)。左目で0.76→1.63になりました(平均2.1倍)。
 21人の成人を別に集めて30分間だけ立体視訓練を行って視力の平均値を測定した結果では、両眼視力は、裸眼で0.33→0.65(0.32の増加)、矯正で0.93→1.33と改善しました(0.40増加)。これから立体視の即時効果が分かります。

11■ 効果を立証する十種類の反響
 立体視訓練をした読者から寄せられた反響を整理して並べてみましょう。本書の終わりで述べる立体視の5種のいやし効果(ヒーリング効果)を理解する上で役立ちます。
 @〜Eは目への効果、F〜Hは精神への効果、Iは身体への効果です。
 @【視力が改善した】
 「はじめは絵を見るのはムズカシかったけれど、なれたらけっこうかんたんに見れるようになった。1ヶ月ほど使っていて、視力は0.4ほど上がった。買ってよかったと思う」(MW、12歳)。
「学校で視力検査をしたら0.4でメガネをかけるように言われたけど、この本を使って2週間後に測ったら、0.8にまでなってメガネがいらなくなりました。この本を使って本当に良かったです」(SH、14歳)。
 A【左右の目のバランスが改善した】
 「私は左右の視力の差が激しく片方で見ていた感じでしたが、この本に出会って両目で見る力が出てきました。(KK、30歳)。
 B【乱視が改善した】
 「視力1.5ですが、乱視のため特に左がかすむ、ぼやけます。立体視のあと右を閉じて驚きました。ハッキリと文字が読めます。中高年の方にもっと宣伝をして、社会運動化してください」(TI、59歳)。
 C【老眼が改善した】
 「老眼が始まってとても目が疲れやすくなり、メガネも作ったのですが、なんだがすっきりしませんでした。それがこの本を購入した見始めたところ、目の奥がスーッとしました」(HH、44歳)。
 D【視野が明るくなった】
 「一回トレーニングするだけで、視野が明るくなって、ものがはっきり見えて驚きました。3Dが見えたときは感動しました」(AR、29歳)。
 E【目の疲労が改善してスッキリ見える】
 「目が疲れている時に本を見ますと、本当にすぐ疲れがとれてスッキリするのが実感できます」(MI、54歳)。
 F【頭がすっきりし精神的にリラックス】
 「頭がスッキリする。頭の瞬発力がついたのを感じる。3Dを見るのが楽しいし、精神的にリラックスできる」(NY、30歳)。
 G【集中力が高まった】
 「近視で目が疲れやすいのでこの本でトレーニングしています。前よりも目が疲れなくなったこと、勉強に集中しやすくなったこと、気分転換がうまくはかれるようになったのはこの本のおかげです」(YK、25歳)。
 H【感動不思議体験を得た】
 立体視が見えるときには、「面白い」、「楽しい」、「感動する」、「不思議だ」、「美しい」、「うっとりする」という体験が生まれます。本当にたくさんの人がそのような体験談を寄せてくれています。
 I【肩こり、頭痛が解消した】
 「視力回復効果は素晴らしく、眼精疲労も良くなり、長年頭痛や吐き気に悩まされて来たが緩和されて来た」(YT、40)
 「肩こりがひどかったんですが、この本を見てから不思議と肩が楽になり、ビックリしました。すごいですね」(NH、21歳)。
 以上のようにたくさんの体験が寄せられています。本書でよい効果を体験してください。

12■ 美しい地球の風景を頭に入れよう
 人間を含む生物は30数億年もかけて地球の上で進化をして来ました。私たちの目や脳はその地球の自然に合うように発達し、そこをよく観察して、よく生きることができるように出来ているのです。
 だから、目と脳の働きが健康なときには地球が美しく見えるものなのです。そして、不思議に満ちた地球の美しさがよく分かるようになると、頭の働きも活発になってきます。そんなつもりで以下の写真を眺めましょう。

13■ 訓練の仕方
 一日に5分間、最低一ヶ月は続けましょう。
 楽しみながら立体視をして、必ず、その前と後に視力を測ってください。視力の改善は測ってみないと進歩はわからないものです。
 立体視が成立したら、立体感がくずれないように保ったまま、本を持って、ゆっくりと写真を顔を近づけたり遠ざけたりしてください。また写真を左右や、上下にもゆっくり動かしてください。このような運動が重要です。
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