タレント・はしのえみさんとの対談・前編

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読みたい本がたくさんあるから…
教えてください、読書のコツ!


 雑誌「ダヴィンチ」の企画によって、タレントのはしのえみさんと対談する機会があった。 ダヴィンチ誌に掲載されたその内容を採録する。

「はしのえみの速読解明レポート<前編>
 対談 はしのえみ×栗田昌裕」
ダ・ヴィンチ2001年4月号対談完全収録版
発行・発売/メディアファクトリー 毎月6日全国書店にて発売中
SRS速読法は、連載「速読に挑戦」に協力しています
取材・構成――今屋理香

目次
4月号: 「読みたい本がたくさんあるから…
教えてください、読書のコツ!」
1  ◆ 速読って何?
2  ◆ 速読ってどうやって読むの?
3  ◆ 速読でも本に感動できるの?

【速読のその疑問、ダ・ヴィンチ編集部が確かめます】
4  速読は誰がやってもできるものなのか?
5  誰でもいつでも好きなところで
6  客観的データが導くSRS速読法の効果
7  速読してみてわかる従来の読書の弱点
8  ●体験談ファイル●
9  ■どのくらい速く読めるか
10 ■速読の魅力
11 ■読書の変化
12 ■速く読んだ内容を理解できているか

<読みたい本がたくさんあるから…
教えてください、読書のコツ!>
「ダ・ヴィンチ」2001年4月号

 人生は一度きり、思うように過ごしたいもの。もちろん有意義な読書もそのひとつ。なのに、毎日の新聞や気になる新刊、続々更新される電子情報等々、読みたいものを満足に読めないまま時間は過ぎていくばかり…。
 そこで、<指回し体操>でおなじみの医学・薬学博士、そしてSRS速読法提唱者栗田昌裕さんにダ・ヴィンチ読者を代表し、はしのえみさんが速読によるワンランク上の読書について質問します。

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はしのえみ(タレント) 
1973年生まれ。鹿児島県出身。趣味は絵本収集。欽ちゃん劇団でのさわやかなコメディアンぶりが注目され、今やお茶の間での人気も急上昇中。TBS「王様のブランチ」、「CX「ポンキッキーズ」、そしてこの4月からCX「クイズ!目からうろこ」(4/16スタート・月曜夜7〜8時)のレギュラー、CX「笑っていいとも!」の隔週水曜日のレギュラーにと大活躍。雑誌「スケルトンファン」では「はしのえみお気に入り日記ひめごと」を連載中。 

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栗田 昌裕
1951年生まれ。東京大学理学部数学科卒、同大学院修士課程修了、同大医学部卒。米国カリフォルニア大学留学。医師、医学博士、薬学博士。薬物動態学、肝臓病学、医学統計・システム理論などの研究を進める一方、講演や執筆活動も行う。日本で最初に速読1級の検定試験合格後、速読を入口としたSRS(スーパー・リーディング・システム)能力開発法を提唱。世界伝統医学大会3回連続グランプリ受賞をはじめ、毎日21世紀賞、2001年提言賞等受賞も多数。

1 ------------------------------------------------------------------------------------------------
速読って何?

はしの● 私は速読をよく知らないんですけど、例えばこの本(持参したエッセイを指して)だったらどのくらいの時間で読めるんですか?

栗田 ■ そうですね。初級レベルの速読なら1分で1万字程度読めますから、1ページ700字前後の本なら1分で20ページ、10分で1冊くらいでしょうね。

はしの● 1、1冊10分…。えーッ!?私なんか、斜めに読んでもそんなに速く読めないんですけど…。

栗田 ■ 斜めに読むのを速読とは言わないですよ。

はしの● え、そうなんですか…。

栗田 ■ それは飛ばし読み。飛ばし読みでは部分しか読めませんよね。私が提唱している速読は全部を正確に読むのが前提なんです。

はしの● 確かに斜めに読むと、かえって内容がよくわからなくなりますね。

栗田 ■ 読書であるからには全部に目を通さなければね。

はしの● ということは、普通に読んでるのと同じように、内容も全部頭に入っているってことですか?

栗田 ■ もちろん。それより、はしのさんがこれまで続けてきた「普通の速さの普通の読書」と速読との違いについて、説明していきましょうか。


2 ------------------------------------------------------------------------------------------------
速読ってどうやって読むの?

はしの● 普通の読書とは読み方が違うんですか?

栗田 ■ 行の流れにしたがって文字を一字ずつ辿りながら、頭の中で声に出して読むのが普通の読書としましょうか。そのスタイルで速く読もうとすると、こうやって(上から下へ)目を速く動かすことになる。目線の先でとらえているのが文字一つきりだからです。その速さにも限界があるし、無理すると目や首、肩にも負担がかかります。

はしの● たしかに……。

栗田 ■ しかし、速読を訓練した目は、ぱっと見るときに人間が本来持っている視野をそのまま使います。だから本を広げたときにとらえることのできる範囲が違うんです。理屈的には景色を見てそこからいろんな要素を一瞬で得るのと同じですね。広げられた本の情報量も、一瞥でキャッチするようになるのが速読というわけです。

はしの● 速読ってものすごい速さで目を動かすものだと思っていたんですけど、そうではないんですね。

栗田 ■ 速読では情報が目から身体の中に入って、中で処理されて、また身体の外へ出て行くという一つの流れができるんです。ところが、あなたが速読している人を見ても、速く情報を入れる段階しか見えませんから、それが速読というものかなと思ったのかもしれません。でも本当のところはそれだけではなくて、速く大量に読んで、それを自分の内面に響かせて、言葉や行動に反映していく。その流れを強力にするものなんですよ。

はしの● なるほど。

栗田 ■ 先ほどの「速読で普通に読んでいるのと同じように、内容が全部頭に入るのか」というご質問ですが、実は、「普通の」読書のほうが、読んだことをあまり理解していないし、覚えてもいないんですよ。

はしの● えっ!そうなんですか?

栗田 ■ 例えば黙読や音読のスピードで1分間本を読んでもらうとしましょう。そしてその内容を書きだしてもらう。すると、大体の人が単語数個程度しか書き出すことができないんですよ。はしのさんは、仕事の本番寸前で台本に目を通すときどんなことをしていますか?1行ずつ急いで目を動かしながら音読しているのか、ぱっと眺めたらある程度頭に入るのか……どうですか?

はしの● 集中してなるべくぱっと見るようにしているんですが。

栗田 ■ それをどんな時にもできるのが速読なんです。はしのさんのように無意識のうちにできている人も多いかもしれませんね。目の本来の機能に沿った読み方ですから、実は誰にでも速読できる能力は備わっているということなんですよ。

はしの● えっ、私にも?

栗田 ■ 頭の中で1文字ずつ音読するのは子供の頃に習った一つの方法でしかありません。訓練すればはしのさんも先ほどの本を10分で読んで、その内容を頭の中に残せるようになりますよ。新聞に5分で目を通したい、インターネットを幅広く使いこなしたい、台本を効果的に頭に入れたい、全部簡単にできるようになります。

3 ------------------------------------------------------------------------------------------------
速読でも本に感動できるの?

はしの● でも、恋愛小説やミステリーはじっくり読まないとちゃんと感動できないんじゃないかと心配になるんですけど……。

栗田 ■ 人が感動するとき、ゆっくり見たものほど感動するのかと考えてみると、そんなことはないでしょう?ゆっくり読んでも何の感動もしない人もいれば、じっくり説明されても理解できない人もいる。いつの間にか気が散ったり、外から邪魔が入ったりすることもある。

はしの● そうですね。

栗田 ■ 一方で、人のちょっとした一言に感動する、ぱっと見た風景に感動することがある。どれも一瞬の出来事ですよね。

はしの● たしかにそうですね。車窓の景色とか、瞬間的に見たもののほうが、かえって残りますね。

栗田 ■ そうでしょう。見る速度、接する速度は、感動の深さとはあまり関係がないんです。感動とは、それをどのように受け止めるかで変わるものなんです。

はしの● 読むスピードの問題ではないんですね。

栗田 ■ そう。情報のメッセージをそのままに受け止めて、自分の過去の体験と深いところでつなげられたときこそ、感動は強く残るんじゃないでしょうか。速読は短い時間でその状態を作るためのトレーニングでもあるんです。速読によってそういう機会を多く持つようになれば、感動するセンスも高められていくでしょうね。

はしの● あっという間に読んでいるんだけど、感動したことはちゃんと自分の中のひきだしにポンポンっと入っているような……。

栗田 ■ それが読んで響くということですね。

はしの● なるほど!先生、私は今まで読むのがけっこう遅かったんです。

栗田 ■ 読んでじっくり考える?

はしの● はい。想像が膨らまないと読み進められないというか。想像できないとまた読み直して、理解できるまで繰り返したりしていました。

栗田 ■ 想像している時に自分の過去の体験につないで、読んだ内容を咀嚼していたんでしょう。

はしの● ええ、まさにそのとおりです(笑)。

栗田 ■ それは立ち止まって読むような状態といえばいいかな。それをやっていると何が問題かというと、読んで立ち止まるごとに忘れていってしまうこと。書いている人の意図から外れていったりすることもあるかもしれない。つまり、書いている人が言っていないことまで読んだ内容に混同させて誤読を楽しむ状態になりがちなんです。行きつ戻りつ時間をかけて1冊読み終えたときには、楽しんだ感じは残っていても、何が書いてあったかを正確にキャッチしていたかどうかはちょっと怪しい……。

はしの● そうだったかもしれない…。

栗田 ■ 本を断片的に読むと誤解も生みやすい。細切れに読まない訓練をしたほうが、本が本来言わんとしていたことに出会えるはずですよ。

−−−後編へ続く

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【速読のその疑問、ダ・ヴィンチ編集部が確かめます】
4 ------------------------------------------------------------------------------------------------
速読は誰がやってもできるものなのか?

 速読とは一体何だろう?誰がやってもできるものなのだろうか?
 現在、読書人口の大半は、文字を一字ずつ辿りながら読む「低速」で本の情報に接している。
 このスピードのままで不自由はないはずなのに、暮らしのさまざまな場面で、当たり前のように読書効果を享受することができない−。
 そんな私たちの読書のあり方を大きく変える能力を秘めているという「速読」、ダ・ヴィンチ編集部が毎回テーマを掲げ、その真実を探ります。

5 ------------------------------------------------------------------------------------------------
誰でもいつでも好きなところで

 「速読」って本の斜め読みや飛ばし読みのこと?編集部の予備知識はその程度のものだった。しかし、編集部に集まったSRS速読法体験者の話に耳を傾けるうち、にわかにそんな安直なイメージは捨てざるを得なくなった。音読では、通常の読み方の十倍、百倍、あるいはそれ以上の高速、大容量で読書を楽しめる。しかも、誰でも、いつでも、好きなところで。
 自分の生活に読書は欠かせないものであるはずなのに、読書する時間がない、読んでも頭に入らない、そんな悩みを抱えた本好きは多い。多くの人がなかなかそこから抜けられない状況を俯瞰してみたとき、これまで速読の本来の効果に気づけなかったのはなぜか、その背景が浮かんできた。
 「速読ができないという人はいないんですよ。ただ、読書における理解の仕方に関して、ずれた解釈をしてしまう人はいらっしゃるかもしれません。たとえば、本を読みながら筆者の意向からそれていって、独自の考えを広げていく作業のことを読書だと解釈している人は、速読するとその作業を減らしてしまうような気がして、心理的な抵抗を持ったりする場合があります。しかし本来、読書というのはコミュニケーションの手段ですから、作者の考えを短時間でダイレクトにキャッチすることに大切な意味がある。間違った読書スタイルだと、長い小説を何年もかけて読み終えても、筆者の言わんとしていることとは全く無関係の読み取りをしてしまう場合が少なくありません。これが速読なら、大量の情報を短時間で読み取ることができますから、筆者の意図通りの理解を得ることができるわけです。自分流の思い込みが強い人ほど速読の狙いを理解しづらい面はあるようですが、SRS速読法では人の意識の領域から身体まで全てをフル活用するトレーニングを通じて、思い込みから脱出するたくさんのチャンスを用意しています」(SRS速読法提唱者・栗田昌裕博士)
 速読ができるということ、それは、いかなる環境においても必要な読書・勉強の効果を獲得できる読み方ができるということだと栗田博士は語る。斜め読みや飛ばし読みではない。情報のスピードを凌駕しつつ、読書の楽しみはもちろん、時間のゆとりを生み、記憶力や集中力、そして健康面までも引き上げ得るものなのだ、と。

6 ------------------------------------------------------------------------------------------------
客観的データが導くSRS速読法の効果

 しかし、そんな理想の読書を実現する速読が誰にでもできるなんて、それには一体どんな根拠があるのか。
 「普段の読書では、大抵の人が、文字を一字一句目で追いながら、頭の中で音読しています。そんな、子供のころからの何十年もかわりばえしない読み方は、脳に備わる意識の力を使い切れていない読み方です。これでは読みながら自分の知識を活かすまでには到達できません。習慣や思い込みで築いた思考回路に頼るために年齢を増す毎に感受性は鈍り、目を酷使するために読むことに疲れ、新しい発見や肝心な事を見落としがちになるのも防げなくなっていくでしょう。後で読んだことを思い返そうとしても、浮かんでくるのは個人的な印象ばかりで実際の要旨にはほど遠い、そんな傾向はありませんか」
 本を読んだ感想は答えられても、何が書いてあったかという問いに的確に答えられる人は少ない−博士の言葉に我々は頭をたれた。自己流の読書って、そんなに穴だらけだったのか…。
 「一方、SRS速読法でマスターするのは、知識を読み取り(分散入力)、自分の内面と照らし合わせながら知識を正確に理解し(並列処理)、表現や行動に役立てる(統合出力)という読書のプロセスを、すべて速読で行うトレーニングです。読むスピードを上げるという働きかけが、多面的な意識の力を引き出すのに有効だからなんですね。その意識とは、@筋肉などを動かすための運動系A意志では動かせない内臓などの自律系B感情や情緒などを司る情緒系C五感からイマジネーションを生む心象系D言語を操る言語系Eすべての源にあたる潜在意識が収まる潜在系の6つ。これらは誰もが持ちあわせている機能でありながら、従来の読書では使われることがありませんでした。速読によってこれらの力を意識的に活用することで、それぞれのボーダーレスな相乗効果が得られるようになることがわかっています。読むスピードが上がることは大前提として、@を伸ばせば、その影響を受けてBやCが開発される、というように」

7 ------------------------------------------------------------------------------------------------
速読してみてわかる従来の読書の弱点

 速読を始めた比較的早い段階で、受講者の記憶力や集中力、思考力や表現力などのレベルアップが認められるのはすべてその産物らしい。誰がいかなる条件下で本を広げても、その場において最善の脳の状態を作って、理解度が高められるということらしいのだ。これまでに400近いクラスで行われた講義では、参加者全員の読書速度の平均値が、10ステップ(2時間ずつ10回)の講習で参加開始時点の10倍を超えたという。しかしそれだけではない。読んだ内容を自由に再現し、使いこなすようになること、そこまでを含めて速読効果なのだと博士は続ける。
 「受講者の方には速読のあとに感想文を書いていただくのですが、それを読むと、今までどれだけ浅い読書をしてきたかがわかったという述懐が多く出てくるんですよ。試しに1分間で1ページ何か読んで、書いてあった内容を書きだしてみていただくとわかるはず。大体10単語くらい書き出せれば良いほうでしょう。たった1ページの読書でさえ、黙読や音読では正確に読み取ることができません。むしろ速読の方が簡単なんです」
 これが、速く読んで終わり、の他の速読法にはできないことであり、年齢や学力に全く関係ないところでわかりやすく読書効果を実感できる点でもあろう。SRS速読法では検定試験によって客観的理解度を測る基準を持っている。独りよがりのスピードや理解度におぼれる心配もないわけだ。(30ページに栗田博士とはしのえみさんの対談掲載)

8 ------------------------------------------------------------------------------------------------
●体験談ファイル●
 「読書で大事なのはメッセージを読み取ること。すべて把握しなければいけないと思い込んでいたので読むのが遅かったんです」

中○香○さん:
 銀行リスクマネジメント部勤務。速読なんて辛くマスターしづらいものだと思い込んでいたという。

9 ------------------------------------------------------------------------------------------------
■どのくらい速く読めるか
 もともと読むのが遅いことを気にしていたんです。しかし、飛ばし読みや斜め読みで時間を省いても、頭に残らないなら意味がないと思い、速読をマスターすることにしました。スタート時は1分間に文庫本1ページ弱の速さだったのが、初級コース修了時には、文庫本の3分の1近く読めるようになっていました。

10 ------------------------------------------------------------------------------------------------
■速読の魅力
 速読するときの「並列処理」という頭の使い方。仕事や読書では集中するほうですが、その時、一つだけでなく二つ、三つと必要な要素を並列に考えながら作業を進めることができると、集中することの効果が一気に高まるんです。目の前のことだけにとらわれないからパニックにならないし、大事なことをミスしたりしなくなりましたね。

11 ------------------------------------------------------------------------------------------------
■読書の変化
 本だけでなく業界紙や雑誌もよく読んでいるのですが、雑誌は自分にとって必要な情報とそうでないものとがはっきり分かれますよね。それなのに、今までの私は最初から最後まで読まないと気が済まなかったんです。気持ちが乗らないときは何度も読み返したりしましたから、薄い雑誌1冊に何日もかかったりして。やりたいことのために読んでいるはずが、そのための時間がいつまでも作れなかったですね(笑)。今も新聞すべてに目を通すことは変わらないんですが、情報の選別があっという間にできるようになりました。

12 ------------------------------------------------------------------------------------------------
■速く読んだ内容を理解できているか
 理解力は上がったと思います。これまでの読書と違うなと感じたのは、文字の暗記で知識を増やすのではなく、情報を体験するかのように速読して、メッセージを吸収しているような感覚でしょうか。これまでは一語一句見逃しては理解できないという強迫観念みたいなものがありました。でも本当は、読んだことを人に説明したり自分に活用したりするときに大事なのは、文字情報の暗記ではなく、要点やメッセージの理解なんですよね。速読はセンスを訓練するのに役立つものだと思いました。
以上。

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