渡辺真理さんとの対談 第2回

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タイトル

10分で一冊の本が読めるSRS速読法とは? 

渡辺真理 × 栗田昌裕


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 雑誌「ダヴィンチ」の企画によって、渡辺真理さんと対談する機会があった。 
 ダヴィンチ誌に掲載されたその内容を採録する。

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 雑誌「ダ・ヴィンチ」 
 2008年10月6日号46−47頁
 発行・発売/メディアファクトリー 毎月6日全国書店にて発売中
 構成・文 今屋理香
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 渡辺真理 わたなべ・まり
 ●国際基督教大学教養学部卒業。1990年に入社したTBSを98年3月に退社。同年5月よりANB「ニュースステーション」のキャスターとして出演。現在、ABC・ANB系「最終警告!たけしの本当は怖い家庭の医学」、CX「熱血!平成教育学院」、TBSラジオ「アクセス」にレギュラー出演中。

 栗田昌裕 くりた・まさひろ
 ●東京大学理学部卒、同大学院修士課程修了(数学専攻)、同医学部卒業。現役医師。医学・薬学博士。26の学会に所属。速読を入口としたSRS能力開発法を提唱し、SRSの研究成果を学会で130回以上発表。「指回し体操」の提唱者であり、NHKをはじめテレビ出演は100回を超え、新聞・・雑誌でも多く紹介される。

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●本文

  第2回 読みたい本は山ほどあるが、時間がない!
  そんな人のための特別対談[第2回]
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 これまで月に2、3冊読めたらいい方だった読書ペースが、
1日1冊は当たり前、10分に1冊読めるようになったら
どんなにいいだろう。
しかも、スピードも理解も
格段に向上する速読ができるようになったら・・・。
 それには、普段行っている黙読や音読を
ただ急いでもダメだと栗田博士は断言する。
 速読の鍵は、言葉を処理する脳の回路の使い分けにある。
従来の黙読・音読で使われている脳の情報処理回路は、
耳で声を確かめて読む「音の回路」を介したものだった。
 栗田昌裕博士提唱の10倍速達成メソッド「SRS速読法」は、
ページの内容を目の視覚細胞からまるごと瞬時に取り入れる
「光の回路」を使う。
つまり、本を読むときに、わざわざ聴覚に迂回する方法ではなく、
視覚に直接言葉を取り入れる方法に切り替えることで、
比べものにならない速さを可能にするのだ。
 対談の後半は、そんなSRS速読法の極意について、
渡辺真理さんが鋭く聞き出す。 

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 ◆「目から直接読む」速読と
   「声に置き換えて読む」
   普通の読書の違いとは

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栗田■ 私はSRS能力開発法を指導していますが、
SRSとは、スーパーリーディングシステムのことです。
それは、従来とは違う読み方を学ぶ体系です。
新たに学ぶのは小学校から続けてきた
「音の回路を使って文字を読む」という
音の情報処理ではありません。

渡辺● はい。

栗田■ ここが一番大事なところです。
普通の読書では、頭の辞書に登録できるのは、
音読して声に置き換えて
音になる言葉が主体になるわけです。
普通の読書では、
言葉を見て、しゃべって処理しているんです。

渡辺● 一方、目から言葉を瞬時に
大量にとらえる光の回路では
どうなんでしょうか。

栗田■ (テーブルを指して)たとえば今、
パッと見た瞬間に
これがテーブルであることがわかりますよね。
「テーブル」という言葉にしてしゃべる必要はありません。
これが光の回路から頭の辞書に登録するという作業です。
私たちはすでに言葉を学ぶ前の赤ちゃんのときから、
そんな辞書を相当パーフェクトに作っています。
だから、大量の要素で構成されている風景を見ても
全然困らなくて、木なら木、建物なら建物、
見ただけでわかるわけですよね。

渡辺● 私たちは情報を理解するのに、
頭の中の音の回路と光の回路を
別々に使っているということなんですね。

栗田■ はい。読書では音の回路を使い、
本ではないものには光の回路を使う、
というように。
音の回路は光の回路に比べてとても遅くて、
10年使おうが20年使おうが
処理の速さは変わらないんです。

渡辺● 音の回路と光の回路では
どのくらい処理能力が違うんですか?

栗田■ 速さで言うと、
普通の人が音の回路で読書をすると、
1分間に800字から900字ぐらい。
文庫本で1ページちょっと、
これが一般的な読書速度です。
小学校1年生でたどたどしく少ない字数で読み始め、
成長とともにアナウンサーのような普通の速さになり、
小学校の高学年辺りでは
それでもまだ遅いということで
黙読をするようになります。
黙読で少し速くなって、
それが800字から900字のスピードになるわけです。
それは同時に、小学校の高学年くらいで
言葉の処理能力は頭打ちになることを意味するんです。
そこから先は大人になっても
ずっと同じなんですよ。
音の回路だけを使っている限りは、
正確に読んで理解して伝えるということをトレーニングしても、
音の回路の動く速さに限界があるので、
普通はその回路を速めること自体、
健全に感じられないはずです。

渡辺● 本を読む時に頭のどの回路を使うかはもちろん、
2つあるということさえ自覚がありませんでした。

栗田■ 速読は音の回路ではできないということを
まず私は言いたいのです。
本の文字を音の回路に持っていってしまうと、
必然的に内面でつぶやいてしまうし、
つぶやくのに時間もかかる。
風景を見るときに、いちいち
これはテーブルだこれは絨毯だこれはストローだ……
と言うようなことと同じで、
そんな処理の仕方をしていたら
風景なんて瞬時に見られないのと同様です。
そこではない違うところ、
つまり視覚細胞の光の回路に
言語の情報処理をのせるのが速読です。
そのためには文字を
音の回路にもっていかないことなのです。

渡辺● スポーツ選手を見ながら、
言葉で一人一人実況中継できないのと同じですね。
それじゃ疲れるばかりですし。
そうではなくて、自然にただ見るだけで、
たくさんの人が動いているのが楽しめる。
これは目の世界、光の回路の世界なんですね。
そういう目の世界の光の回路の情報処理効率は、
音の回路に比べてどれぐらいなんですか。

栗田■ 音の回路の情報処理に使われる
耳の聴覚の神経細胞の数は
だいたい2万〜3万です。
一方、光の回路の情報処理に使われる
目の網膜の神経細胞は
1億2000万個あるんです。

渡辺● そこまで違うんですか。

栗田■ 倍率で単純にいうと、
2万と1億なら5000倍の違いです。

渡辺● それはすごい。

栗田■ 例えばこのビルから街中を見おろすと、
数秒見ただけで何百軒の建物が見えて、
どこにどんなものがあるなと、
一目でわかる。
これを電話で実況中継したらどうなるでしょう。
どれぐらい時間がかかるでしょうか。
一軒一軒話していくと
何百倍どころの時間では足りないですよね。
音の伝達効率と光の伝達効率は
それぐらい違うんです。

渡辺● どちらも使えるなら
わざわざ非効率な方だけ使うことはないですよね。

栗田■ 目は一瞬のうちにバッと見えるわけでしょう。
だから何千倍と効率が違うわけです。
私たちは目でページを見ているにも関わらず、
その目の情報をいったん耳に任せていた。
だからそこでスピードが遅くなっていたんですよ。

渡辺● 本も風景みたいに
一瞬で見て、
楽しむことができるということなんでしょうか。

栗田■ 1ページのなかに
言葉がたくさん並んでいるのは、
東京の街を空から見ているような様子と同じ。
そうわかれば、言葉の群れが
頭に一度に風景として入ってくる。
そのように言葉を扱えたら、
たくさんの言葉の背後に
どんな世界が描かれているのか、
どんなメッセージがあるのかは、
ゆっくり読むよりもすぐにわかるようになると
思いませんか。

渡辺● 私たちの中に
その能力が眠っているということはすごいことですね。

栗田■ そうです。
私がSRS能力開発の体系を作って、
カリキュラムを教え始めたのが1991年でした。
以後、データを蓄積していくと、
平均10倍の速さになるということがわかった。
以来、維持しています。
速読とは誰でもできる非常に普遍的な能力なんです。
本の言葉をのせる装置を
耳ではなく目に変えるだけ。

渡辺● それは誰もが持っているものなんですね。

栗田■ 光の回路を使って、
風景を見ることのできる目に、
紙の上のインクのシミである「文字」をのせるだけ。
そのコツをつかむと
速読はとても簡単なんですよ。

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 ◆なぜSRS速読法で無理なく10倍アップできるのか
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栗田■ 光の回路を使った速読の特徴は、
分散入力、並列処理、統合出力、
それだけです。
分散入力とは、
頭に一語ずつ順番に入れていた言葉を、
一気に入れ続けること。
並列処理とは、それを1億2000万の細胞を介した
広いスペースで同時並列に処理すること。
統合出力とは、
情報を行動や表現としてアウトプットしていくときに、
ベストにまとめること。
それがSRS能力開発の目的でもあるんです。

渡辺● 大きな体系と目的があるんですね。

栗田■ ただ速く読む練習をしているわけではありません。
SRS速読法で誰もが平均10倍速になるのも、
能力開発の大きな産物のひとつ
と思っていただければいいでしょう。

渡辺● SRS速読法なら、
自分の全体的な能力もバランスよく上げてくれるんですね。

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