1分間に1ページの読書しかできない理由

一つ前の項目を読む
次の項目を読む
SRS速読法とは」
のリストに戻る
HP表紙に戻る

 一般に読書速度は一分間に一頁読むのが標準的である。例えば、最近のあるクラスのデータを見ると、学ぶ前の一分間の読書速度は840字であった(73名の平均値)。本の難易度や一頁の字数によっても当然異なるが、この度合を大きく超えることはない。
 これはなぜであろうか。それは私たちが「音読」によって読書の歴史をスタートさせるからである。アナウンサーが朗読をする速度は一分間に300字程度とされる。実際にはもう少し速いとしても、聞き取りやすい速度は400字以下である。この速度が読書速度の基本となっているのだ。私たちの耳はしゃべる速度に合わせて理解するよう習慣づけられており、耳を直接使うわけではない読書も、この基準に合わせて理解する速度が決まってくるのだ。そこで、このような読書を「音の読書」と私は呼んでいる。文字の情報は、本来は「光の情報」として目に入るのだから、視覚的な情報処理だけですませば速いはずなのに、わざわざ頭の中の「音の回路」を動かしている。いわば余分なことをする分だけ遅いのだ。そこで、そのような遅い回路を用いないで、視覚の回路のみで読書をしてゆく作業を「光の読書」と呼ぶ。「音の読書」と「光の読書」の差は、一分間5000字という目安で分けることができる。