速読ツアー

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SRS速読法とは」
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 先に、速読を学ぶことを旅行にでかけることに例えたが、このセンスは重要である。 というのは、多くの人は、「同じ場所に留まって同じ訓練をひたすら繰り返すことが速読訓練である」という固定観念(第二の固定観念)に陥りやすいものだからである。「速読力を獲得する作業は新天地に旅出つことだ」ということが自然にイメージできれば、そのような固定観念(誤解)の壁は自然に超えられるのだ。
 今後、そのようなイメージを持続してもらうために、本書では、速読を学ぶ過程を「速読ツアー」と呼ぶことにしよう。 実際、私の指導する速読のクラスでは毎回新しいことを学ぶことが特徴の一つである(これをSRSの訓練の多様性という)。能力開発は常に新天地へのチャレンジであるから、マンネリや惰性に陥る訓練を重ねないためにも、メニューの豊富さと新鮮さが大事なのだ。
 以下、本書では随所に栗田式の速読ツアーに参加した人ちの体験談を盛り込んでゆく。特に説明のない限り、1997年の9月から11月までに施行された初級速読第279クラスの参加者の体験を使用する。最初はその受講者の橋田祐孝氏(32歳、新聞社勤務、初速1280字/分→最終21200字/分、16倍突破)の記録を参考にしてほしい。 「昔、栗田式とは別の速読法の本を買ったことがある。その内容のほとんどが眼球訓練で、まるで長続きしなかった。実はその頃から『速読』というものを意識していた。しかし『人より少しぐらい速く読めればいいや』というくらいの気持ちしか持っていなかった。 今回の講習もかなり軽い気持ちでの参加だった。ところが1回目であっという間に2倍を達成し、『これはすごい』と思った。参加前は、『ウンチクなんかはいいからどんどんトレーニングをやってくれ』と思っていた。しかしそれは完全な間違いだった。 栗田先生のお話しは、心に(意識に)どんどん入りこんでくる。その過程で自分に起こったのはまさしく『パラダイム・シフト』だった。この講習での一番最初でかつ一番大きな感動は、先生の『疑いを超えろ』という言葉だった。講習を重ねるうちに、変化がどんどん現れた。本や新聞が速く読めることはもちろん、夢が大きく変化したり、車の運転での危機回避がうまくいったり、仕事の能率があがったり…。先日、ふだんは夢の話などしない妻が『とても具体的な夢をみた。それをあなたに説明してるところまで夢だったの』と言った。驚いた。妻にも夢の変化が現れたのだ。これは紛れもない『共鳴現象』だと感じた。ちなみに私が今回講習に参加していることを妻は知らないのだ。私の場合、苦手だったのは『イメージ』作りだったが、講習を通してかなりの進歩をした。
 初めは全く浮かばなかった樹木がかなり鮮明に描けるようになった。肝心の速読は九回目で1万字を超え、十回目でめでたく10倍を突破した。体も元気になったし、今後の人生が楽しめそうだ」。