「キャスター・伊藤聡子さんとの頭を元気にする対談
「しなやか速読生活」のすすめ@」

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 雑誌「ダ・ヴィンチ」誌上にて、キャスターの伊藤聡子さんと対談をした。
 その第一回目の内容を紹介しておこう。
キャスター伊藤聡子さんは忙しい。いつも時間と情報に追われている(はず)。
それでも、次々とニュースを読みこなす彼女の表情はいつもイキイキとしていて、
コメントもキマっている。
きっと、1分1秒を楽しんで活かす術を知っているのだろう。
そんな伊藤さんが、このところ関心を寄せているのが「速読」だという。
彼女が選んだのは、SRS速読ほう提唱者・栗田昌裕博士。
こうして実現した対談、最近どうにも頭が思うように働かない人から、
伊藤さんになりたい人まで要チェック。
流れ去るばかりの日常を特別な時間に切り替えるヒントとは・・・

 <伊藤聡子(さとこ)さんのプロフィール>:
キャスター。1967年、新潟県出身。東京女子大学文理学部英米文学科卒。在
学中にTBS「関口宏のサンデーモーニング」でデビュー。現在は同「ベストタ
イム」、MXテレビ「東京インフォーカス」に出演中。郵政省次世代インターネ
ット政策に関する研究会、電子商取引推進ワーキンググループメンバー。趣味の
スキューバダイビングではアドバンスのライセンスを持っている。

<こんな時代だから提案します>
伊藤● 実は、以前から、栗田先生の速読にすごく興味があったんです。でも、本が速く読めるというのは、ある種の特殊な才能だと思い込んでいたんですね。
 先生、本当に速読って訓練すれば誰でもできることなんですか。
 栗田■ 誰でもできます。従来の読書の速さは、その人のしゃべる速度がベースになっているんですよ。音読なら口に出す速さそのまま。黙読も頭の中で喋って読む速さそのまま。数倍程度には加速できても、そこまでなんです。だから十倍、何十倍と速くなる速読なんてできるものではないと思い込んでしまうんでしょう。
 伊藤● ええ、そうなんです。
 栗田■ 人は視覚、聴覚などの、入力装置を駆使して、脳に情報をインプットています。従来の読書で使われる情報経路が、文字を順番に読む声を聞いて確認する「音の回路」とすると、速読で活躍するのは、目が広く大量に情報をキャッチする「光の回路」。だから、音の回路から、光の回路を使って読むという変換が出来さえすればいいんです。
 伊藤● そうか、そもそも使うツールが違うんですね。私たちの普通の読者が、目より耳に頼る読書だった意外でした。
 栗田■ 例えば風景を眺めるとき。私たちは持続3百キロで走る新幹線から、視野いっぱいの景色を見て楽しむことができますね。このように、光の回路の情報処理は、速さに対応して進化し続けています。しかし、音の回路は単純で、耳から一つずつ入った情報が糸電話のように順番に脳に届けられる一次元的な処理しかできません。それをスピードアップしても限界があるんです。そこで壁にぶつからないで、まとまった情報をちゃんと見るということに徹した読書にシフトすれば、正確さも速さも、これまで以上の速読はすぐに始められるというわけです。
 伊藤● つまり、自分で使える方法の選択肢を変えるだけで、速読って誰でも自然にできるものなんですね。アナログ回線からブロードバンド回線へのニーズにも似て、今はちょうど時代が速読を求めている時期にあるような気もします。始めるなら今なのかな。
 栗田■ 私の提唱するSRS速読法は、91年から387クラスを開講していますが、20数時間の初級ステップで、すべてのクラスの平均が10倍以上のスピードアップを達成していますよ。
 伊藤● すごい。それは本を写真に撮るように読むということなんですか。
 栗田■ 違うんですよ。写真に写すだけだと、情報を移動させるだけになってしまうでしょう。
 自分の目で風景を味わうようにすぐ理解するということなんです。
 伊藤● そうですよね。私もニュースを読んでいて、次々と手渡される原稿を、ただ読むだけではだめ。その瞬間における理解が勝負といった面がありますね。
 栗田■ 理解するというのは、情報を自分と関わらせるということ。スキャナでいくつ写真を取り込んでも、フロッピーは景色を理解しませんよね。人によって大切なのは、大量に読み取ることよりも、読んだ後でどうするかということなんですよ。
 伊藤● 情報を大量にインプット出来て、瞬時にぱっと解体して理解して、的確にバランス良くアウトプットできるようになれる。速読が求められる理由も、そこにあるんじゃないでしょうか。
 栗田■ そうですね。まずは1行ずつ読むことをやめてみること。
 伊藤● 風景や人の顔なら、一度に全体を見ているのに、本だけは一文字ずつしか見られないって、確かに変です。
 栗田■ それは子供の頃からのすり込みで、本の文字はまとめて読めないものとして反応しているだけなんですから。
速読と普通の読書の理解 どちらを選ぶか
 伊藤● 速読ができるようになったら、どこからでも自由に集中して読み始められそう。実は私も、分厚い資料を読むと、書いてある順番にとらわれて、何度も同じところを読み返したりして、時間に追われがちでした。
 栗田■ 例えば今、源氏物語を読んでいるとしましょう。主語が始まって何行も読んだ後、述語に「〜しなかった」ときたとする。その間、脳は何をしてると思いますか。判断を保留しているんですよ。脳が全部の情報が入ってからしか機能しないということなら、入れる順番は、関係ないと思いませんか。
 伊藤● 順番に情報を頭に入れることにこだわることで、時間をかけすぎて読む時間を中断したり、読んだことを忘れたりして、自分から全体の理解をつっかえさせていたんですね。
 栗田■ そうなんです。
 伊藤● それならまとめて一度に読んでしまったほうがいいんだ。やっぱり、読むことって、自然に風景を見るのと同じようにするのが一番なんです。
 栗田■ 速読で内容が理解できるんですか、とよく聞かれますが、普通の読み方で理解できているかどうかも確認しておいたほうがいですよ。普通の読み方で、1年かかっていたものを速読で1時間で読んでも、理解できれば同じなんですから。
 伊藤● 思い込みや先入観から開放されて、速読を乗ずに使いこなせたら、深い理解や自由な時間が手に入る。大人になってからの勉強や、山積みの仕事の強い味方になってくれそう。速読で、頭の知性だけでなく、心の余裕も磨きたいものですね。



 
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