「キャスター・伊藤聡子さんとの頭を元気にする対談
「しなやか速読生活」のすすめA」

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 雑誌「ダ・ヴィンチ」誌上にて、キャスターの伊藤聡子さんと対談をした。
 その第二回目の内容を紹介しておこう(平成14年6月6日号掲載)。
キャスター伊藤聡子さんは忙しい。いつも時間と情報に追われている(はず)。
それでも、次々とニュースを読みこなす彼女の表情はいつもイキイキとしていて、
コメントもキマっている。
きっと、1分1秒を楽しんで活かす術を知っているのだろう。
そんな伊藤さんが、このところ関心を寄せているのが「速読」だという。
彼女が選んだのは、SRS速読ほう提唱者・栗田昌裕博士。
2人が語り合う、流れ去るばかりの日常を特別な時間に切り替えるヒントとは?
最近どうにも頭が思うように働かない人から、
伊藤さんになりたい人まで要チェック。
やっぱり、時代は速読の助けを必要としている。

 <伊藤聡子(さとこ)さんのプロフィール>:
フリーキャスター。1967年、新潟県出身。東京女子大学文理学部英米文学科卒。在
学中にTBS「関口宏のサンデーモーニング」でデビュー。テレビ朝日「スーパーモーニン
グ」メインキャスターを6年半務めた後、TBS「ベストタイム」、TX「keynote」などで
活躍。現在、語学の習得を目標にニューヨークと日本を行き来する生活を送る。
趣味のスキューバダイビングでは一人でも海外へ出かける行動派。

<心には幾つもの情報の扉が用意されている>
伊藤■ 本には情感のある場面や、美しい言葉、作家の個性的な表現などがあって、それを味わうのが楽しみだったりもするのですが、速読でそんな細かい点まで味わえるものなんでしょうか。
栗田■ 速読には、内面を加速するという技術があるんです。私の提唱しているSRS速読法では、読んで(分散入力)、わかって(並列処理)、役立てる(統合出力)までの情報の扱い方を同時に高めることを速読としています。通常の音読や黙読を続けている人には、速読とは情報を速く取り込むことだと思われているかもしれませんが、それは速読の入力の段階に過ぎないんですね。速く読もうとゆっくり読もうと、内面の反応が進まなければ、味わいもないんですから。
伊藤■ 活字や挿絵を見て味わうわけではないんですものね。速く読むことには関係ない・・・。味わいとは自分の情報処理の中から生まれるということ、言われてみてあらためて気がつきました。
栗田■ 人の脳が、体や心の動きをコントロールするコンピューターのようなものだとしましょう。SRS速読法というツールは、目の機能を活かして、音読や黙読をせずに、本の文字を一気に分散して入力します。それからたくさん入ってきた情報を、頭の中で同時並列的に処理します。
一冊速読すれば一気に一冊分すべての情報が揃いますから、感動や味わいを生み出す美しい言葉や新しい知識などが、余すところなく内面に行き渡るわけです。
ですから、情報処理能力を高める速読で、味わいが深まることはあっても、味わえないということはありません。
伊藤■ これまでの味わい方がどのように変わるんでしょうか。
栗田■ 長い時間をかけて言葉を一つずつつまんで飲み込む方法が従来の読書だとしたら、思い通りの時間で大皿を心ゆくまで味わうのが速読です。結果的には、本の中の部分的な印象だけでなく、作家が作品にちりばめた表現から、全体的なメッセージをしっかりと心に受け取ることができるわけです。
伊藤■ 「この言葉が素敵」とか、「このシーンが気に入っている」といった味わいもあったけれど、なんだか、もっと深くて強力な感動の世界をまだ知らずにきたかもしれない。
栗田■ 私たちの心の扉は一つじゃありませんよね。心には幾つもの扉がある。本を読んで一つや二つの扉しか開かないのではなく、あらかじめすべての扉をオープンにして、そこにまんべんなく発見や感動が届けば、いろいろな自分がいろいろな感じ方を味わえるでしょう。
伊藤■ 自分を変えずに読むよりも、自分が変わる読書がしたいわけですものね。


 <人生を面白くする速読>
伊藤■ 速読って、たくさんの自分に気づかせてくれることにもつながるんですね。
栗田■ 速読で知性の扉が開いたら、私たちの中に眠る「複数のシステムを同時に働かせて最適な行動に結びつける」という能力をいつでも応用できるようになりますよ。
 読書に限らず、お仕事をしているときでもそう意識してみてください。
 たくさんの伊藤さんが情報をやりとりして頑張っていますね。喋る自分もいれば、話を聞く自分もいる。考えをまとめる自分もいれば、周囲のリアクションを冷静に判断する自分もいる。有形無形の情報の前で、なるべく多くの分身を総動員し、活躍させて高めてほしいですね。
伊藤■ どんなときも、自分を知るって、心強いことだと思うんです。でも、それがいつもできるって難しいことだったんですよね。
 生放送中にたくさんの資料を読みながらゲストの先生に質問をぶつけて、それを聞きながらコメントをまとめて・・・その場で集中しなきゃと強く思っているから、その時は何かがわかったという達成感もあるんですけれども、情報が通過していった後になって、時間が経つと、今、自分に何が残っているだろうかと考えることも多かったんです。
栗田■ 本来幾重もの知性が備わっているのに、時間に追われて表層意識だけにすべての対応をさせていると、トータルな反応にゆとりがなくなっていくんです。
 それを会社にたとえると、社長である表層意識がワンマンできりきり舞いをして、その下に広がるたくさんの心の従業員が手持ちぶさたになっているようなもの。
 考える前に、心の従業員たちに、情報のあらゆる要素を同時並列的に分配してやればいいんです。それが恒常的に行われれば、社長にできないことができる従業員たちが、それぞれ最適な行動を導いてくれるようになるんですよ。
伊藤■ 私たちに自然に備わっていたものを引き出してくれる栗田博士の速読。私の持っていたイメージとは随分違いました。
栗田■ 野球をしていて、ボールが来たらどう動こうかなんて順番に考えていたら足が動かないでしょう。どんな展開が来てもすぐに反応できる情報回路を、読書はもちろん、仕事でも散歩の場面でも、同じように使っていれば、一瞬を最大限に活かすのは難しいことではありません。速読もスポーツも、自分の体から生まれるものなんですから。
伊藤■ 新しい情報が次々とやって来ても、自分に残す方法がある。言葉の記憶というより、情報を体験して何かを身につけていくように自分を変えていけたら。
 速読って人生を面白くするための技術なんですね。



 
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