速読対談 松木安太郎氏との対談《第1回》
「スポーツ」という究極の情報処理に学ぶ@

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対談 松木安太郎・栗田昌裕
「スポーツ」という究極の情報処理に学ぶ@
  収載:
    「ダ・ヴィンチ 9月号」(メディアファクトリー)、2002年9月6日号、
    「対談 松木安太郎・栗田昌裕 『スポーツ』という究極の情報処理に学ぶ@」、   p48−49。構成・文 今屋理香
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 ワールドカップを観ていてあらためて気づいたことがある。
瞬時に状況を読み、持ち合わせた技術を最高の場面で繰り出す選手たちは
思い通りの結果を導くように総力を発揮する、中身がやっぱりすごいんだ、と。
局面に応じて集中力、判断力、創造力、行動力を使いこなすアスリートから
我々が学ぶべきものは何か。
彼らのハードパワーとソフトパワーのバランスの取れた情報処理能力について
サッカー解説者・松木安太郎氏と情報処理能力育成の第一人者・栗田昌裕博士が語る。

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ワールドカップの1ヵ月、勝敗の行方もさることながら、選手の活躍にくぎ付けでした。見ているうちに、いろいろな関心が湧いてきて。それは、技術や肉体を高いレベルでコントロールする、彼らの内面についてです。
ぜひお二人に、あの判断力や集中力、決定力のメカニズムを、解説していただけないでしょうか。
そして、あわよくば我々にも、それを共有する術を教えていただきたいのです。

松木● 最近の選手はいろいろなことが一緒にできるというのが当たり前になってきてますね。昔はパーツで教えられてましたから、この技術はあるけれどあの技術はだめだという選手が結構いました。

栗田■ 教え方も変わってきたんですか。

松木● やはり技や体力だけじゃない、総合的な能力重視です。この頃僕が感じているのは、精神面に関して欠けている部分を補っていこうということでしょうか。強靱さ、柔軟さ、抽象的になりますが、それらを養うには、人から教わるというより、自発的にいい情報を取り込んで、いいイメージで処理して、自らなりたい自分をつくっていく、そういう発想が大事だろうと思うんですけれども。

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身体能力を支える潜在能力の存在

栗田■ そうですね。人間の能力には自分で意識できるところとできないところとがあって、意識できないところに個々の重要な素質が潜んでいることが多いですから。それに気づくチャンスをたくさん持つことは大事ですね。

松木● サッカー界では、大人になるほど伸びしろは小さくなってしまうという考えから、ゴールデンエイジと呼ばれる子供のうちから、過去のワールドカップのデータをはじめとした有用と思われるあらゆる情報を、どんどん与えているんです。でも、いくら集中力や吸収力が高いと言われる彼らでも、知識だけを詰め込まれて頭でわかっただけでは、だめなんですよ。

栗田■ ことに、自分の内面を磨くとなると、どこをどうすればいいのか、目に見えないだけに主体性が持ちにくいでしょうね。私は、人の内面の働きを、情報の入力、処理、出力という情報処理能力の働きで説明しています。そして、情報処理能力を速読で鍛えて潜在能力を引きだすということを提唱しているんですよ。速読の情報処理能力は、大量の情報を一気に見る「分散入力」、同時並列的に処理する「並列処理」、価値ある行動に変える「統合出力」。従来の情報処理を、このシステムにシフトさせるんですね。すると、子供に限らず何歳でも、スポーツ選手でもそうでない人でも、短時間のうちに、個々の心と体のバランスの取れた、その時なりの潜在能力を発揮する方法が体験でわかるようになってくるようです。私は、サッカーも、異なる条件を持った選手たちが、それぞれの潜在能力を活かして結果を出している典型だと思うんですよ。

松木● なるほど。

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サッカーは情報処理だ!

栗田■ サッカーにおける分散入力とは、人、ボール、フィールド、ゲームの局面、すべてを正確に見ることにあたると思います。あるがままに見るというごく当たり前のことですが、これが情報処理の基本でしてね。例えば「もっとよく見ろ」などといった言葉は、監督さんや選手の間でもよく使われているんじゃないかと思いますが、見えている基準は人によってまちまちなんですよ。だから、次の判断や行動に差が出る。そうならないためには、視野を全部使って見ること。これは周辺視野による分散入力という、速読の第一段階なんです。

松木● ゲームを観るときでも、ボールの流れだけじゃなく、ピッチ全体を見渡して予測しながら観ると、より楽しめていろんな要素を深く理解できるとか、そういうこともありますね。

栗田■ ほとんどの人は、目のレンズの焦点にあたる中心視野ばかり酷使しているんですよ。ボールを追いかけるのが中心視野だとしたら、ピッチ上のあらゆる情報を同時に追えるのが周辺視野。周辺視野も使って見られるようになると、情報処理が一気に加速するんですよ。

松木● ものの見方ほど個人差のあるものもありませんしね。

栗田■ 選手の中にも、周辺視野ですみずみまで状況を見て、複数のプレーヤーの動きを並列処理している人はいます。それによって潜在能力が活性化してひらめきのあるプレーが生みだされる。これが統合出力。速読の情報処理そのものでしょう。

松木● 面白いな。ちゃんと見る方法が身に付けば、予測しながら余裕をもって、流れをコントロールすることは難しくなくなるわけですね。

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あらゆるハンデを克服するスピード感ある情報処理

栗田■ サッカーでも、避けて通れないのがスピードですね。ちゃんと見ているからこそ速いんだと思いますよ。

松木● 臨機応変なスピード感ある情報処理は、あらゆるハンデを克服する可能性を持っていると思います。それがサッカーの面白さ。研ぎ澄まされた情報処理で、体の大きさの違いや何人ものアタックをいとも簡単に切り抜けるんですから。世界中であらゆる人たちがサッカーに親しめるのも、そこですよね。自分の内面から、必要な力を引きだす潜在能力は、特別なものでもなく誰にとっても平等であり、身体能力を補って余りある力をもたらすということを証明している。

栗田■ 速読は難しいことのようにとらえられがちですが、やっていることはスポーツと同じでしょう。例えば本を広げて、これから一冊読むとします。そこで情報を一言ずつ理屈っぽく受けとっていると処理が遅くなりますが、無意識に反応できる潜在能力にスピーディーにまるごと届けられたら、書いてあることがすぐに読み取れても不思議はないと思いませんか。

松木● 広い視野でちゃんと見る、同時に処理する、自分の持ち合わせの情報と合わせてここ一番の決定力を発揮する……。サッカーって速読だなあ。

栗田■ サッカーはもちろん、どんな場面でも人が成長するのに役立つ要素ですよ。

松木● 伸びる選手とはそれがあらかじめ自然に身に付いていたんでしょう。これが体系的にトレーニングできるなんて、興味ありますね。

栗田■ それでは実際に少し体験してみていただきましょうか。

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ダ・ヴィンチ編集部が確かめます!
速読は誰でもできるのか?
収載
   「ダ・ヴィンチ 9月号」(メディアファクトリー)、2002年9月6日法
「ダ・ヴィンチ編集部が確かめます!速読は誰でもできるのか?」、
p50−51。

栗田博士に訊く「速読で読んだ内容が理解できてるんですか?」
「スキャナで幾つ写真を取り込んでも、フロッピーは景色を理解しないでしょう。
つまり、人にとって大切なのは、大量に読み取ることよりも、読んだ後をどうするかということ。
 『理解する』というのは、情報を自分と関わらせるということなんです。
 例えば今、源氏物語を読んでいるとしましょう。
 主語が始まって何行も読んだ後、述語に『〜しなかった』ときたとする。
 その間、脳は判断を保留しています。全部の情報が入ってからしか脳が機能しないということなら、頭に入れる順番は関係ありませんね。
 完結しているものを一度で頭に入れて、それで内容がわかってもいいはずです。
 分厚い本を3年かかって読もうが、1分で読んでしまおうが、入れてしまえば同じなんですから、まとめて速く読めたほうが読書を存分に楽しめるはずですよ。
 情報を大量にインプットできて、瞬時にぱっと解体して理解して、的確にバランス良くアウトプットできるようになれる。
 速読が求められる理由もまさにそこにあって、ただ情報を取り込むだけの行為に意味はありません。
 順番に情報を入れることにこだわることで、時間をかけすぎて読む時間を中断したり、読んだことを忘れたりして、ゆっくり読むから理解できないという人も多いのではないでしょうか。
 思い込みや先入観から開放されて、速読を上手に使いこなせたら、深い理解や自由な時間が手に入るはずですよ」。

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読みたい本を自由に読む時間がない、新聞や雑誌は短時間で頭に入れたい、読解の精度を上げたい……。そんな悩みは誰にでもあるが、SRS速読法ならまとめて解決できるという!
今より速く、今より正確に、今より深く読書を楽しむ速読はあなたの「情報処理能力」を大いに刺激し、これまでの読書をガラリと変えるのだ。
まずは受講生の生の声を聞くべし!

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銀行勤務 ○村○里さんの場合
「読んだつもりではなく、
要点やメッセージをちゃんと理解する読書に変わりました」

もともと読むのが遅いのを気にしていたんです。飛ばし読みや斜め読みで時間を省いても、頭に残らないなら意味がないと思い、速読をマスターすることにしました。スタート時は1分間に文庫本1ページ弱の速さだったのが、初級コース修了時には、文庫本3分の1近く読めるようになって。内容を理解できているから、理解力も上がったと思います。今は本だけでなく業界紙や雑誌もよく読んでいます。雑誌は自分にとって必要な情報とそうでないものとがはっきり分かれますよね。それなのに、今までの私は最初から最後まで全部読まないと気が済まなかったんです。気持ちが乗らないときは何度も読み返したりしましたから、薄い雑誌1冊に何日もかかったりして。やりたいことのために読んでいるはずが、そのための時間がいつまでも作れなかったですね(笑)。今も新聞すべてに目を通すことは変わらないんですが、これまでの読み方と違うのは、情報の選別があっという間にできるようになったことです。マスターして良かったと思うのは情報の「並列処理」という頭の使い方。仕事や読書では集中するほうですが、その時、1つだけでなく2つ、3つと必要な要素を並列に考えながら作業を進めると、集中する効果が一気に高まるんです。目の前のことだけにとらわれないからパニックにならないし、大事なことをミスしなくなりました。

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金融コンサルタント ○垣○明さんの場合
「速読は誰でもできます。重要なのは
納得のいく本物のトレーニングと出会えるかどうかなのでは」

米国では歴代大統領やビジネスエリート、MBA志願者などが弁論術などと同じ必須スキルの一つとして速読を習得していることを学生時代から知っていました。チャンスがあればやってみようと考えていたので、憧れはありましたが、速読に対する変な先入観はありませんでしたね。一度別の速読を受講して効果がなかったのでしばらくそのままだったのですが、資格(中小企業診断士)にトライしている時、「もう一度チャレンジしてみよう」と思ったんです。始めた時の目標はスピード3倍アップ。「3日かかる本を1日で読みたい」といったくらいの気持ちでした。ところが受講してみると百倍以上を記録できて。しかし、そういった数値よりも、新聞、雑誌、社内回覧物、ネット情報などを気楽に色々目を通せるようになったことが、速くなったのかなと実感するときですね。1冊の本に何ヶ月もかかっていたら最後の方を読んでいるときには最初の方を忘れてますよね。それにこれまでは、難しくて理解できない本は、ゆっくり読んでも理解できなかったんです。でも速読で繰り返し読んだり、同ジャンルの本をまとめて読んだりすることで、ゆっくり1冊読むよりも確実に、広く深い理解が得られるということがわかってきました。速読とは、それがいつでもすぐにできる有意義なツールだと思うんです。

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東京外語大学学生 ○藤○子さんの場合
「休み時間や通学時間に1冊も夢じゃない。
難しい長編もサッと読めて学生生活が充実しています」

私は、読書が好きだったにもかかわらず、最近目が疲れがちで思うように読めないという悩みを何とかしたくて、SRS速読法を始めたんです。そこで、自分に足りなかった「見る力」をトレーニングしたことで、速く読めたのはもちろん、目も疲れなくなりました。しかもトレーニングは体に気持ち良く、頭に面白い簡単シンプルなもので、日常の気分転換みたいな感じで続けられて、楽しかったですね。飛ばし読みや斜め読みは速読じゃありません。目の本来の機能に伴う読み方で、情報を速く正しく見ていく方法を教えてくれるのがSRS速読法です。これまで自分の体の中にしまい込まれていたあらゆる運動機能を引き出し、総力を発揮できるように整えてやれば、速読って自然に簡単にできるようになるんだなとつくづく思いました。SRS速読法をマスターして気づいたことは、「〜できない、〜が苦手」と思ってきたことは、そのほとんどが自分で自分を使い切れていなかったからだということです。だから、今までの読み方のまま速読をイメージして、しり込みしていたんですよね。今、大学でロシア語を専攻しているので、トルストイやドストエフスキーなど長編大作と言われるロシア文学を、速読で全部読んでやろうと思っています。休み時間、通学時間が十分な速読タイムになりますね、きっと。




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