速読対談 松木安太郎氏との対談《第1回》
「スポーツ」という究極の情報処理に学ぶA

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対談 松木安太郎・栗田昌裕
サッカーと速読、その究極の情報処理に学ぶA
  収載:
    「ダ・ヴィンチ10月号」(メディアファクトリー)、2002年10月6日号、
    「対談 松木安太郎・栗田昌裕 『スポーツ』という究極の情報処理に学ぶA」、    p52−53。構成・文 今屋理香
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 瞬時に状況を読み、持ち合わせた技術を最高の場面で繰り出すアスリートたちには局面に応じて集中力、判断力、創造力、行動力を使いこなす情報処理能力が備わっている。彼らの、ハードとソフトのバランスの取れた情報処理能力の使い方について我々が学ぶべきものは何だろう。
 サッカー解説者・松木安太郎氏と情報処理能力育成の第一人者・栗田昌裕博士が語る。

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 技術や肉体を高いレベルでコントロールするスポーツ選手の内面で、強力な情報処理能力が機能しているというのがお二人共通のご意見ですね。それでは、我々がそれを日常で普通に使いこなすことはできるんでしょうか。

速読法(1838)開発法(1115)運動法(59)
身体能力を支える情報処理能力

栗田■ 自分の内面を磨くとなると、目に見えないだけに、どこをどうすればいいのか主体性が持ちにくいでしょうね。私は、人の内面の働きを、情報の入力、処理、出力という情報処理能力の働きで説明しています。そして、情報処理能力を速読で鍛えるということを提唱しているんですよ。速読の情報処理は、大量の情報を一気に見る「分散入力」、同時並列的に処理する「並列処理」、価値ある行動に変える「統合出力」。従来の情報処理を、このシステムにシフトさせるんですね。すると、子供に限らず何歳でも、スポーツ選手でもそうでない人でも、短時間のうちに、個々の心と体のバランスの取れた潜在能力を発揮する方法が体験でわかるようになってくるようです。

松木● なるほど。臨機応変なスピード感ある情報処理は、あらゆるハンデを克服する可能性を持っていると思います。世界中であらゆる人たちがサッカーに親しめるのも、そこですよね。研ぎ澄まされた情報処理で、体格の違いや何人ものアタックをいとも簡単に切り抜けるんですから。自分の内面から、必要な力を引きだす潜在能力は、特別なものでもなく誰にとっても平等であり、身体能力を補って余りある力をもたらすということを証明している。

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速読法(1839)開発法(1116)運動法(60)
松木氏、指回し体操に挑戦

栗田■ 速読は難しいことのようにとらえられがちですが、やっていることはスポーツと同じでしょう。例えば本を広げて、これから1冊読むとします。そこで情報を一言ずつ理屈っぽく受けとっていると処理が遅くなりますが、無意識に反応できる潜在能力にスピーディーにまるごと届けられたら、書いてあることがすぐに読み取れても不思議はないと思いませんか。

松木● 広い視野でちゃんと見る、同時に処理する、自分の持ち合わせの情報と合わせてここ一番の決定力を発揮する……。サッカーも速読だなあ。

栗田■ サッカーはもちろん、どんな場面でも人が成長するのに役立つ要素なんですよ。

松木● 伸びる選手とはそれがあらかじめ自然に身に付いていたんでしょうか。これが体系的にトレーニングできるなんて、興味ありますね。

栗田■ それでは実際に少し体験してみていただきましょうか。一つトレーニングをご紹介します。

松木氏、栗田博士の指導のもと、指回し体操を体験。ほんの数分の体操の後、体の柔軟度が格段にアップしたことに感嘆しきり。

松木● 僕も選手を見る立場なので、どんなトレーニングにどんな効果があるかということはよくわかっているほうだと思うんですが、情報処理能力を上げるのに、体を使うというのはとても合点がいきますね。

栗田■ いきなり最初から速く読む練習はしないんですよ。私が速読を教えるのは、2時間の講習時間の中でなら6分ほどです。1回につき1分間ですから6回だけ。速読ができるようになることはトレーニングの結果得られるおまけであって、むしろ主体となるのは、情報処理能力の枝を楽しみながら伸ばしていくという、そのトレーニングの過程ですから。

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速読法(1840)開発法(1117)運動法(61)
アスリートも学生も社会人も、
   目標を達成したいすべての人へ

松木● 指回しや呼吸法、イメージ訓練やものを見る訓練、先生の速読をサッカー選手にやらせるといいだろうなあ。僕もこれからやってみよう。

栗田■ 松木さんのサッカー指南書を読ませていただいたんですが、その指導法と同じですよ。随所にテンポよく遊びをはさんで、毎回のトレーニングで達成感が得られるようになっているんです。一つの目標に達するのに、柔軟な発想で手段をたくさん用意できると、これをやるとここが変わった、あれで試したらこう伸びた、という手ごたえがあるでしょう。そういうものさしをたくさん持つこと、これが、人が進歩するのにとても大切なことなんですよ。成長していることを確認しながら進んでいくと、速読で10倍程度のスピードになるのは難しくありませんから。

松木● 小さなことでいい。一つの目標をかなえるのに一つの方法しかなくて、それがいつまでもできないとなると、全てがいやになってしまうものですよ。

栗田■ できることが増えていくことで、落ち着きや自信も備わってきますしね。

松木● 速読ができるようになったら、意欲と能力がコントロールできるようになるんですか。

栗田■ まず、自分のなかにある可能性に気づくようになると思います。自己評価を上げる機会をたくさん持てる。

松木● 自己評価、それとても大事です。

栗田■ 伸びない人を見てみると、「めげる、いじける、くじける」というパターンに陥りやすいようなんですよね。

松木● そこを乗り越える方法をちゃんと持っていたら、どこにいても大丈夫。

栗田■ どこかで挫折した経験があると、何か始める前から「これもダメかな」という気持ちになりがちなんですね。だから私が言うのは、「めげない、いじけない、くじけない」ということ。まだやったことないんだから、最初にできないのは当然だよ、と。

松木● Jリーグの選手だって、最初からボールリフティングが2回も3回もできたやつは一人もいないぞ、と。

栗田■ そういうときは少し自分を客観的に見て、できないことに感動するといいですよ。

松木● 「こんなにできないんだ、すごいな」と面白がれると、余計な意識に邪魔されずに、できないことだけ追いかけるように自分を作っていける。自分にないものを作ろうという発展的な行動につながっていくんでしょう。何かやってやるぞと思ったら、その入り口付近でいろんな情報処理能力を働かせて楽しめる者の勝ちかな。

栗田■ 楽しむ中で自分の不備に気づいて、それを補いながらイマジネーションを膨らませて臨機応変さにつないでいく考え方を、何らかの方法で磨いていくといいでしょう。

松木● スポーツにも社会生活にも共通するセンスですね。

栗田■ これからの学びはそうありたいものですね。

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速読法(1841)開発法(1118)運動法(62)潜在法(218)
ダ・ヴィンチ編集部が確かめます!
速読は誰でもできるのか?

栗田博士に訊くSRS速読法の目指す「速読」
収載
   「ダ・ヴィンチ10月号」(メディアファクトリー)、2002年10月6日法
「ダ・ヴィンチ編集部が確かめます!速読は誰でもできるのか?」、
p54−55。

 SRS速読法の全てのトレーニングは、シンプルな1分単位の内容にまとめられています。講習では、初級、中級、上級を各10ステップに分け、1ステップに2時間程度かけて理解しながらトレーニングを進めます。
 実際に、初級10ステップ(合計20時間)での参加者の読書速度は、平均で初速度の10倍を突破しました。開講以来390クラス(02年7月現在)の全てでそのような結果が得られています。これは、人の持っている情報処理能力を引きだす過程で、速読は誰でも自然に達成できるということを教えてくれます。
 これまでの10倍というと、しり込みをするような高い目標に思えるかもしれませんが、だからこそ、SRS速読法は初級で10倍突破という事実を大切にしています。
 なぜなら、従来の読み方を加速する程度でこなせる目標では、本質的な情報処理能力の開発にはならないからです。
 最初の段階で「自分にできるだろうか」と感じるのはごく自然な反応でしょう。
 しかし、そこで同時に、SRS速読法は「通常の読書をただ加速する方法では到達できない」ものだということ、でも、「通常の読書では使ってこなかった情報処理能力を使うようにすれば誰でもできる」ということに注目してください。
 その点を各トレーニングの体験で「なるほど、わかった、できた」と納得しながら、合理的にマスターしていくのが、SRS速読法なのです。


「速読」がブームだ。読書家はもちろん、勉強や仕事の効率を上げたい人、体調や視力を気づかう人などが自分の脳の力を試そうと、SRS速読法を取り入れつつある。これまでのイメージを一変させ、速読に様々な用途をもたらしたSRS速読法、果たして自分にもできるだろうか?そこで、あなたに先立ちSRSをスタートした受講生たちに話を聞いた。

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速読法(1842)開発法(1119)
「本当に速く読めるの?」

答える人
会社員 滝浦純子さん
「トレーニングで心と体の準備がバランスよく整えば誰でも速読はできると思います」

私は英検準1級を取りたいと思ったことがSRS速読法に興味を持ったきっかけでした。勉強のために、英語と日本語に関わらず、自分が必要だと思った本を、その時すぐに読めるようになりたかったんです。ですから、その点はとても期待していたのですが、結果は思った通りだったと満足しています。速く読めるようになることに、手足をはじめ、体全体のコンディションが深く関係しているということがよくわかりました。簡単な体操や呼吸法で体が柔軟になるのが面白くて、トレーニングも楽しかったです。そうして、悩みだった肩こりなどが軽くなってきたころ、課題通りに速読してみると、前より多く、速く、正確に読めていて。その繰り返しで10ステップをマスターしていきました。気がつくと初級で10倍のスピードを達成していたんです。それと同時に、勉強の能率も以前よりよくなりました。一通り体験してみて思うことですが、体が本来の力を取り戻すと、心が元気になるんですね。「本を読もう」とか「勉強しよう」というやる気が出るし、自分の力ってまんざらでもないなという自覚のようなものが芽生えてくるんです。そんな心の準備も、速読ができるようになることにとても影響していると思います。

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速読法(1843)開発法(1120)
「速読で読んだこと理解できる?」

答える人
金融コンサルタント 岡垣憲明さん
「わからない本はゆっくり読んでもわからないけれど、速読はわかる本を幅広く数多く読んで理解を深めるのに有効なんです」

よくそのように尋ねられるのですが、ゆっくり読むとよく理解できるのでしょうか。1冊の本を読むのに何ヶ月もかかっていたら、最後の方を読むころには、最初の方を忘れてしまっているかもしれませんよね。また、難しくて理解できないと思った本は、ゆっくり読んでも速く読んでも理解できません。でも、よく知っている内容の本はゆっくり読んでも速く読んでも理解できます。それなら、速読だと多種多様に読む時間ができるので、それだけ一つの分野を多角的に知ることができる、つまり理解できるようになるんじゃないかと思うんです。速く読んで理解できるだろうかと思うより、「何回も読んで理解するために速く読む」と思うのがコツかもしれません。米国では歴代大統領やビジネスエリート、MBA志願者などが弁論術などと同じ必須スキルの一つとして速読を習得しているそうです。チャンスがあればやってみたい速読でしたので、私自身は、先入観はありませんでした。新聞、雑誌、社内回覧物、ネット情報など気楽に色々目を通せて、小さな記事も見落とさないようになったことなどは、自分も速読ができるようになったのかなと実感するときですね。

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速読法(1844)開発法(1121)
「どんなトレーニングをするの?」

答える人
国立大学学生 近沢悠子さん
「速読力の養成を前提として心と体のリフレッシュができるうえにそれを日常生活に活かす手段が身に付くトレーニングです」

斜め読みや飛ばし読みの練習などは、SRS速読法では出てきません。まず、今自分が一定時間内にどのくらい読めているのかを知り、読んで頭に残っている内容を書き出してみることで、読書の理解度を知ることからスタートします。私も1分間で読める量など、これまで気にしたこともなかったのですが、実際に試してみると大体文庫本1ページ前後なんですね。それはいいんですけど、読んだ後で内容を書きだしてみると、全然思ったように書けなかったんです。それじゃあ、今まで私は読んだだけでわかったつもりでいたけれど、実は全然頭に残ってなかったんだということであらためて驚いて。SRS速読法のトレーニングで、自分がいかにものを見ていなかったか、注意力が足りなかったかを教えられました。自分がコントロールしていたはずの脳や体のことを全然使いこなせていないということを、トレーニングで再確認する過程は気分的に爽快でしたね。自分で気づいていなかった自分に次々出会えたという感じなんです。速読ができるようになるまでに、視野が広くなったり、イメージが豊かになったり、記憶力が伸びたり、いろいろな発見があるはずですよ。



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