唐木恵子さんとの対談・前編

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Let’s study!
●ケイコ先生こと唐木恵子さんが
あなたに代わって栗田昌裕博士に質問します
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 雑誌「ダヴィンチ」の企画によって、唐木恵子さんと対談する機会があった。 ダヴィンチ誌に掲載されたその内容を採録する。

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そこが知りたい速読法
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雑誌「ダ・ヴィンチ」 
2002年1月6日号48−50頁
発行・発売/メディアファクトリー 毎月6日全国書店にて発売中
構成・文 今屋理香

 唐木恵子 からきけいこ
 1973年生まれ、東京都出身。東京大学教育学部健康教育学科卒。女優。突然「連行」されて家庭教師のケイコ先生となり、東大合格を目指したNTV系、「進ぬ!電波少年」での一途な姿は記憶に新しい。自身も高3になってから東大受験を宣言し、見事合格して周囲をあっと言わせた有言実行型。身一つで勝負する相撲の世界が好きで、「月刊大相撲」で連載を持つ一面も。現在CX系「スタアの恋」出演中。著書「受験坂本ちゃん屁の河童」(日本テレビ出版)。新刊に「ケイコ先生の合格のルール」(朝日出版社)がある。

 栗田昌裕 くりたまさひろ
 1951年、愛知県出身。東京大学理学部数学科卒、同大学院修士課程修了、同医学部卒、米国カリフォルニア大学留学、医学博士、薬学博士。薬物動態学、肝臓病学、医学統計、システム理論などの研究を進める一方、講演や執筆活動も行う。日本で最初に速読1級の検定試験合格後、速読を入口としたSRS能力開発法を提唱。世界伝統医学退会3回連続グランプリ受賞をはじめ、毎日21世紀賞、2001年提言賞等受賞も多数。

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その1「入門編」
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坂本ちゃんを8校もの大学合格に導いた唐木恵子さん曰く、「やればできるのに、やらないからできないことって多い。そんな自分を変えていこうって、いつも思ってるんです」。新しい自分に出会うために、できることには何でも挑戦したいという彼女が、今興味津々なのが「速読」。読書はもちろん勉強や仕事で変わるためのノウハウをあなたに代わって栗田博士に質問します。

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KARAKI● 私、速読って飛ばし読みや斜め読みの練習をするのかなと思ってたんです。
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唐木● 栗田先生、私は以前から、速読について、いろいろ知りたいと思っていたんです。

栗田■ そうですか、たとえばどんな?

唐木● 誰でも簡単にできるものなのかとか、理解力や記憶力もよくなるのかとか…。体の働きを目覚めさせてやることで、頭の働きが劇的に向上するという、人間の構造がわかるトレーニングの中身にも、とても興味があります。

栗田■ なるほど。

唐木● 先生は、日本で最初の速読マスターで、SRS速読法の提唱者でいらっしゃいますけれども、何がきっかけで速読を始められたんですか。

栗田■ 私は、50巻ほどの文学全集を繰り返し読んだり、百科事典を丸暗記しようとしたりする子供だったんですよ。そのうち、1冊をどのくらいの時間で読めるものだろうかと、読書効率に興味が湧くようになったんです。中学、高校辺りでは、1秒に何文字読めたかとか、読んだ回数やかかった時間などを記録に残して、その上を行くように挑戦するなかで、最善の読み方を模索し始めていました。

唐木● わあ、それじゃあ、すでに子供時代で1日に1冊程度は軽く読んでいらっしゃったんじゃないですか。

栗田■ 実際、大学時代も1日1冊主義を貫きました。そのくらいなら普通の読み方でも十分できるのです。ただ、大学生活ともなると、アルバイトに時間をとられたりして、1日1冊の時間を作ることが難しく思うときもあり、時間と読書を両立するために速読を意識していました。体系的に確立したのは、学生として数学や医学・薬学などを学んだ後、医者になってからのことです。交通事故で長期入院という逆境をきっかけに、これまで身に付けたことを集大成して、能力開発の一環としたSRS速読法をまとめたんですよ。

唐木● だからSRS速読法のトレーニングがテレビで健康法としても紹介されたりするわけですね。ちゃんとした医学的見地に基づいている。私、速読って飛ばし読みや斜め読みの練習をするのかなと思ってたんです。

栗田■ それを速読とは言えませんね。

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KURITA■ 本に書いてある文字を大急ぎで読んでも、それが身に付かなければ意味がないと思いませんか。
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唐木● 少なくともSRS速読法はそんな単純なものではなさそうですね。

栗田■ そうですね。本に書いてある文字を大急ぎで読んでも、それが身に付かなければ意味がないと思いませんか。それよりも、そこにある情報に自分の内面が呼応して思考や行動を生む、その価値や広がりが大事でしょう。その働きを最大限に効率化するためには、実は、ゆっくり読むより速く読む方がいいということなんです。ゆっくり読んでいては眠ったままの脳の領域も、速読でなら刺激を受け、相互に共鳴して、働きだすから。

唐木● そうなんですか。先生が提唱されているSRS速読法では、感受性や感覚が豊かになるという効果も評判ですよね。私がとても魅かれている一面なんですけれども、それとも関係がありますか。

栗田■ たとえば、いつ、どこにいても「地球は美しい」と思うことができる心のセンス。そう感じられるような情報をキャッチできる感覚を感受性としましょう。これを保つには、情報適応能力が不可欠。情報に対する反応が悪ければ、感受性は微妙にずれていったり、鈍ってしまうものです。読書、特に速読は、それを身近で最大限に訓練してくれるものなんですよ。本の文字をたどるだけの作業を読書だと思い込んでいては、人生がもったいない。

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KARAKI● 世の中の圧倒的な情報量を前に、ただ受動的に過ごしていたら、自分にとって本当に大切なことをキャッチできなくなってしまうなって。
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唐木● そうなんです。私も自分の本に書いたんですが、坂本ちゃんとの受験生活で強く感じたことが、情報の大切さだったんです。時間に追われ、情報に踊らされて、何もかも一緒くたに脳みその右から左へ通過させるだけの今までの自分の姿に気づいて。世の中の圧倒的な情報量を前に、ただ受動的に過ごしていたら、自分にとって本当に大切なことをキャッチできなくなってしまうなって。

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KURITA■ 読書とは、情報を体にインプットして、脳に備わっている知性のさまざまな受け皿に届け、自分を作り変えたり成長させることのできる、最高の知的作業なんですよ。
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栗田■ 本を読んでも感動できない、味わいが残らないというときは、本を読んでいるようでいても、本と自分との間で情報のやり取りがなされていないんじゃないでしょうか。上の空で文字面を眺めているだけだったり、読みながら他のことを考えていたり。本来、読書とは、情報を体にインプットして、脳に備わっている知性のさまざまな受け皿に届け、自分を作り変えたり成長させることのできる、最高の知的作業なんですよ。

唐木● そうですよね。私もそんな大事なことに長いこと無頓着で、どれだけの時間、脳を「休眠」させてきてしまったことか。

栗田■ 情報適応能力を鈍らせてしまう要因は、情報のやり取りの土台となるシステムの問題。人の知性というのはピラミット構造だと考えてみてください。自分である程度意識できて、なおかつコントロールすることのできる、考える、感じる、判断するなどの機能をピラミットの頂点としたら、それを支える底辺の整い具合が重要になってくることがわかるでしょう。

唐木● はい。1日のうちで過ごす時間も圧倒的に無意識の時間の方が長いですものね。そこをほったらかしにするのは、宝の持ち腐れのようなものなんでしょうか。

栗田■ そうなんです。無意識のうちに機能する領域には、潜在意識や、体の内側のすべての働きが含まれますから。SRS速読法のトレーニングでは、筋肉や関節を動かす運動系、自律神経によって働く内臓などの自律系、感情や情緒を生む感情系、イマジネーションを湧かせる心象系、言葉を使いこなす言語系、すべての働きを支える潜在能力の領域である潜在系の6つに分けてアプローチします。心と体はつながっていますから、6つの働きを活性化して相乗効果を引きだせば、それだけで誰でも速く読めるようになるし、これまで以上に元気になる読書ができるようになるはずですよ。

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KARAKI● 私もこれから速読ができるようになるでしょうか。
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唐木● 先生、私もこれから速読ができるようになるでしょうか。

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KURITA■ スポーツと同じで教われば誰でもすぐにできるようになります。
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栗田■ もちろんですよ。多くの人は、読書するのに脳の素晴らしい機能を使いこなしていないんです。それは子供の頃から続けている読み方に拠るところが大きいんですね。速読とは要するに、頭の中でこれまで使われなかった道具を使う読み方ですから、スポーツと同じで教われば誰でもすぐにできるようになります。

唐木● 情報を受け取り、吟味して、身に付けて、そしてアウトプットする、そんな読書をすることが、結局自分をトータルに磨くいい方法を教えてくれるんですね。それでは先生、具体的にトレーニングを体験させていただいてもよろしいでしょうか。

(次回に続く)

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■あなたの疑問、ダ・ヴィンチ編集部が確かめます!
 速読は誰がやってもできるのか?
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自宅で、オフィスで、教室で、短時間にさっとトレーニングを積んで、確実に速く読んで理解する頭を作るSRS速読法。今年こそ充実した読書生活を送りたい人はもちろん、新しいことを始めたい人、目標を達成したい人におすすめだ。頭のための最先端メソッドは、スポーツと同じで教われば誰でもすぐにできるようになるというけれど明日から始めてもホントに大丈夫?というあなたのために、編集部が集めた4人のSRS速読法体験者たち。自分を成長させる最高の知的作業「速読」のオールマイティーな効果、じっくり検証してほしい。

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NKさん(男性) 行政書士・FP
 速読で行政書士合格
 独立後は仕事のプロデュースに応用
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受験勉強を振り返っても、勉強ばかりやっていたという実感がないと言うNKさん。家族にも「いつ勉強していたの」と言われるほどのマイペース学習で見事、行政書士資格を取得した。

 速読をマスターしてから10年ほどになります。SRS速読法の効果は、読むことだけに限りませんね。まず第一に私が行政書士資格を1回で取得するにあたり、短時間で集中的に大量の情報処理をする「時短勉強」ができたこと。現在も急ぎの新分野の仕事が入ったときに、頼りになります。取り扱う分野が広いだけに、慌てず焦らず、方針通りに運んだときは「やってて良かった」と思う瞬間です。
 行政書士という仕事は、複数の手続きや書類作成を順番にまとめるという部分が重要になってきます。多数の手続きの集合で、他士業の方とタイアップすることもしばしばですし、複数の窓口との調整も多い。典型業務である許認可でも、その前提となる許可・認可・届け出がたくさん必要になってきます。SRS速読法は、書籍による情報収集に加えて、こういうときの「プロデュース」に最も役立っていると感じます。それが、全体の時間の短縮、コストの削減にもつながっていくのですから。最終的には、資格を取ったらどういう営業をするか、経営計画を立てるか、それを実現するためには、資格取得の勉強とあわせて何が必要か……という自己プロデュースにも結びついていくと思います。


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YAさん(女性) 百貨店勤務
 感性を錆びつかせないためのかけがえのない心のツール
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ためになる読書は意識を高めてくれると常々思っていた、と目を輝かせるYAさん。しかし、目的が仕事以外の読書となると、欲求だけが先走ってなかなか全部は読み切れなかった、とも。SRS速読法を始めて読書生活が充実したと語る。

 仕事柄、流行は何でも知っておきたいんですが、情報収集も、ただファッション雑誌を眺めていればいいわけではないので、ビジネス書やハウツーものを毎月必ず買って読むんです。速読のおかげで読んだ内容が頭に残るようになってきたのはうれしいですね。理解度の向上をみるのに、速読した内容を書き出すトレーニングがあるんですが、それで試すとかなり理解度が高まっているんです。読んだものをきちんと説明できるまでになっていることに、自分でも驚いてしまいました。仕事だけではなく、普段の読書や生活の中でも活かしたいと思っています。
 SRS速読法は速く読むだけじゃなくて、イメージ能力や身体の中の神経を統合的に高めるトレーニングなので、今まで使っていなかった脳のどこかが次々と働き始めるというような、そんな感覚がありますね。私は初回のトレーニングから感動の連続でした(笑)。手の運動やイメージトレーニングなど、簡単にできることで自分の内面が磨かれていくから面白いんです。

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KNさん(女性) 銀行勤務
「読んだつもり」ではなく、
要点やメッセージを「ちゃんと理解」する読書に
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速読なんて、辛くマスターしづらいものだと思い込んでいたという中村さん。今では文字の暗記で知識を増やすのではなく、情報を体験するかのように速読して、メッセージを吸収しているような読書を楽しんでいると言う。

 もともと読むのが遅いことを気にしていたんです。飛ばし読みや斜め読みで時間を省いても、頭に残らないなら意味がないと思い、速読をマスターすることにしました。スタート時は1分間に文庫本1ページ弱の速さだったのが、初級コース修了時には、文庫本の3分の1近く読めるようになって。内容を理解できているから、理解力も上がったと思います。今は本だけでなく業界紙や雑誌もよく読んでいます。雑誌は自分にとって必要な情報とそうでないものとがはっきり分かれますよね。それなのに、今までの私は最初から最後まで全部読まないと気が済まなかったんです。気持ちが乗らないときは何度も読み返したりしましたから、薄い雑誌1冊に何日もかかったりして。やりたいことのために読んでいるはずが、そのための時間がいつまでも作れなかったですね(笑)。今も新聞すべてに目を通すことは変わらないんですが、これまでの読み方と違うのは、情報の選別があっという間にできるようになったことです。
 マスターして良かったと思うのは情報の「並列処理」という頭の使い方。仕事や読書では集中するほうですが、そのとき、1つだけでなく2つ、3つと必要な要素を並列に考えながら作業を進めると、集中する効果が一気に高まるんです。目の前のことだけにとらわれないからパニックにならないし、大事なことをミスしなくなりました。

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MSさん(男性) 会社員
 自分の「目」と「頭」をちゃんと使えば速読は誰にでもできる!
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速読で鍛えた視野の使い方によって、読書だけでなくものごとの見方も変わった曽我さん。毎回のトレーニング毎に少しずつ限界に挑戦し、10ステップで20倍近いスピードアップを果たした。

 速読ができるようになってから新聞に目を通すのがラクになりましたね。それまではお茶を飲む間にのんびり1、2ページ読む程度だったのが、今は内容を総合的に把握するような感じで、毎朝すべてに目を通しています。おのずと知識も増えるし、精神的にも豊かになりました。それに、今までの読み方がいかに上の空だったか、いかにものを見ているつもりで見ていなかったかということもよくわかりました。調べものをしていてもなかなか必要な情報を見つけ出せなかったり、頭に入れたつもりの事柄をいざというときに使いこなせなかったりということをなくせるようになってきたんです。僕はビーチバレーをやるんですが、スポーツにおける判断力や広い視野の持ち方にも、とても影響力がありますよ。
 周りからもよく聞かれることですが、誰でも速読はできると思います。速読能力って、人間があらかじめ持って生まれた能力であるのに、今までそれに目を向けてなかったために、眠らせていたものだったと思うんです。栗田先生のプログラムに沿って試してみると、知性がバランスよく立ち上がる体験がたくさん得られるから、その仕組みがよくわかるんです。その積み重ねで脳が忘れていた感覚に磨きがかかって、読書の新しい回路になじんでいくという感じじゃないでしょうか。



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