52■カワガラス: 滝の裏で繁殖する営巣戦略(050913)
   ・・・独自の足で川底を歩き瞬膜で水中を眺める渓流の忍者
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 カワガラス(川烏、河烏)は、スズメ目カワガラス科の鳥である。
 北海道から屋久島まで分布する留鳥である。
 カラスという名前だが、通常のカラスの仲間ではない
 (通常のカラスはスズメ目カラス科)。
 全体の色は黒褐色。足は銀白色。
 名前の通り、渓流に生息する。
 渓流の滝の裏や水辺の岩の割れ目やくぼみに巣を作るのが特徴だ。
 滝の裏に巣を作った場合、出入りのたびに滝の流れを飛んで抜けることになる。
 その様子はちょっと感動的だ。営巣戦略として賢さを感ずる。
 材料はコケ(外側に用いる。内側は葉など)。
 巣の形はドーム型で、側面に穴がある。
 川虫(水生昆虫。トビケラ、カワゲラ、カゲロウなどの幼虫)が好物。
 他の鳥よりも、繁殖期が早く、雪解けが始まったばかりの冷たい渓流に潜る。
 繁殖期が早いのは、水生昆虫の成長にタイミングを合わせているためともいう。
 足の裏の指ダコを用いて、流水の中でも水底を歩くことができる。
 さらに、水面を泳ぎながら首を水中に入れて覗く。
 このとき眼球の白い瞬膜が水中メガネの役割をしている。
 このような水に対する適応のために「渓流の忍者」とも呼ばれている。
 日本のスズメ目の仲間で、渓流に住み、水星昆虫を捕る鳥は他にはいない。
 生き抜くための適応は多様で面白い。
                           (栗田昌裕。050913記)

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