全脳システムをフル操作
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SRS速読法とは」
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 速読をするのに、なぜわざわざ六つのシステムを訓練しなければいけないのであろうか。そのことがまだピンと来ていない人もいるかもしれない。それを理解するには認知の仕組みを深いレベルで知る必要がある。詳細には立ち入らないが、概略を述べておこう。
 従来のようなゆっくりとした読書をする際には、主として働いている場所は、大脳皮質という領域である。しかし、速読のような素早い作業をするときには、高速の情報処理を成立させるために、認知に関わるあらゆる中枢神経系の機能が関与してくる。 具体的には、視覚に関わる後頭葉だけではなく、眼球運動に関わる前頭葉の領域や中脳や延髄の領域、さらには、不随意の反射を司る大脳基底核という領域や、運動を巻き込んだ学習を司る小脳領域が、相互に緊密な連携を保ちながら効率よく働く必要がある。私は、自分自身の速読体験と、たくさんの人を教えた体験を通じて、その本質をつかんでいる。 その体験によれば、先に述べた中枢神経系のシステムが、その機能をフルに作動させるには、知性のピラミッドの底辺を構成する六つのシステムの巧緻性と敏捷性という両面を磨く必要があるのである。逆にこのことから、このような諸領域を敏捷にかつ器用に動かすことができない人が進歩の遅れがちな人であることも容易に予測できるであろう。