「理解」に関する思いこみを超えよ
一つ前の項目を読む
次の項目を読む
SRS速読法とは」
のリストに戻る
HP表紙に戻る
 速読のツアーに出かけた人が突き当たる第五の固定観念の壁は「理解に関する固定観念」という壁である。
 理解に関する「固定観念」には二つの側面がある。
 第一の側面は、「従来の読書ではよく理解できている」と言う錯覚である。
 これが錯覚であることは、実際に、本を一回だけ読ませてみて、その内容を確認してみればわかる。速読ツアーで講習を始める前には、初速度を確認する際に、その内容の理解度を確認してこのような事実を十分に自覚してもらうようにしている。その結果は「本人が思っていたほど内容を理解もしていないし、覚えてもいない」のが現実であると知って愕然とするものだ。実際のクラスでは、初回に従来の読書をして貰った際に、その理解度を100%の基準で記載してもらうことにしている。例えば、第279クラスでは、73人の平均は39%(+−26%)であった(以後、かっこ内の数値は標準偏差を示す)。つまり、従来の読書の理解度は平均で4割以下であると自覚したことになる。
 第二の側面は、「速読では理解度が下がる」という「勝手な想像」による思いこみ(誤解)である。訓練初期には充分な理解度が得られないのは当然であるが、光の読書ができるようになるにつれて理解度は上がっていく。初級の第279クラスの例でその実際を見てみよう。速読のどの段階で理解度を調べるかで結果は異なるが、上図は、初級の10ステップ(10回目)が終了したときに、参加者全員に、一分間に二千字から五千字までの速読を行ってそれぞれの理解度を申告させた結果の平均値をグラフ化したものだ。これを見ると、従来の読書の理解度は39%(左端)であるのに、二千字速読では72%とはるかに理解度は高く、三千、四千、五千字となるにつれて、理解度は低くなるものの、その値は、64%、55%、48%であり、最も低い五千字速読でも、理解度は、従来の読書の39%よりも9%も高い値になっていることに注目すべきである。このような結果から、速読による理解度に関する第五の固定観念を脱出してほしい。