36■プヤ: 数十年に一度、何万もの花が咲く開花戦略(050825)
  ・・・南米のプヤは、数十年後に2万個の花を咲かせ、
    ハチドリで媒介し、
    1週間で枯れて1200万個の種子を残す
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  インカ帝国が栄えた南アメリカのアンデス山脈の高地には、6000m級の山々がそ
びえている。そのふもとの3000m級の山地には、不思議な生き物が数多くいる。
 チリを原産地とするパイナップル科のプヤという植物は、鋭くとがった葉を持っている。
 高く太い茎の先にたくさんの花をつける(プヤ属は140種もあると言う)。
 この花には蜜があり、メガネクマを引き寄せる。クマはその花を倒して蜜を食べる。プ
ヤの葉の根元にも糖分があり、メガネクマはそれも食べてしまう。
 プヤはハチドリも引き寄せる。プヤにとっては、ハチドリは花粉を運ぶ貴重な媒介動物
なのである。
 ハチドリがプヤの蜜を吸っている最中には、面白い現象が起きる。
 プヤの花粉に含まれるタンパク質を食べるダニが、ハチドリのクチバシを渡って羽毛に
移動するのだ。このダニは、別の花にハチドリが移動したときに、一斉にその花にクチバ
シを渡って移動する。ハチドリを移動手段として利用しているのだ。何と賢い!
 プヤの一種のカセイソウは、限られたところにしか育たない植物である。
 これは発芽から25年経って花を咲かせる。
 その花は太い柱の上にトゲのある巨大な花の固まりを持つ塔を形成し、その塔の高さは
何と14mにもなるのだ。
 そこには2万個もの花がつく!!
 しかも1200万個以上の種子がそこにできるのだ
 1週間の開花期間には、アンデスアレチゲラやフィンチが蜜を吸いに来る。
 原住民はこのトゲを持つ植物を、家畜を傷つける有害植物と見なして切り倒し、薪に用
いている。
 日本では、大阪府交野市私市にある大阪市立大学の植物園に、「プヤ ベルテロニアナ
(Puya berteroniana)」があるという。高く太い茎の先に、トゲがついたような枝があり、
この枝に花が集まって咲く。花びらは、つやのある青緑色でリンドウに似た形をしており、
1メートルほどまっすぐに伸びた花序に房になって咲き、花の底に滴り落ちるほど香り高
い蜜が溜まっている。昭和25年(1950年)に植物園が開園してまもなく、アメリカの大
学から種を入手し、乾いた土地に植えたという。プヤ属の植物は他の植物園にもあるが、
プヤ ベルテロニアナは他にはない。1986年、1993年、1998年、2001年に咲いたとのこ
と(それぞれ別の株らしい)。この種類は、50年経過してやっと開花し、後に枯れてし
まうとのこと。
 プヤ・ランモンディは百数十年に1度、一日だけ花を咲かせ、その後、枯れてしまうと
いう。何となくすごい世界ではないか。
 下の記事のオオバナノエンレイソウという「草」が15年かけて花を咲かせることも参
考になるだろう。気の長い植物がいるものだ。
 ●参考記事:
「全人会ニュース第374号」、2001年10月24日号、「生命法(157)眼力法(161)雑草
法(46)立体法(107)柔軟法(339)オオバナノエンレイソウは15年かけて開花する」、6頁
                   (栗田昌裕。050825記)

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