37■マムシグサ: 球茎の大小で性が決まる生殖戦略(050826)
  ・・・マムシグサは、球茎が小さいと雄、
    球形が大きいと雌として一年を送る
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 性は地球上の生命体が持つ不思議な仕組みだ。
 性が違う生命体同士が生殖を行うことで、遺伝子同士がミックスして、もとの生命体と
は異なる遺伝子を持った個体が出来る。これが集団で行われることで、生命は適応する
チャンスが増すのではないかと思われる。
 性は多くの生命体では、一生の間不変なものであるが、地球上の生命体には、途中で
変化するものが意外に多くある。 
 サトイモ科のテンナンショウ属のマムシグサもそんなものの一つだ。マムシグサの画像
に関しては、このHPの3D植物園の46番(花と葉)と207番(実)を参照されたい。
 マムシグサの場合、地下にイモがある。このイモは根がふくらんだものではなく、茎の
一部がふくらんだものだという。これは球茎(または担根体)という。
 マムシグサの花には、雄花と雌花がある。これはヘビの頭を連想させる花の基部を切っ
て調べて見ると区別ができる。花は、肉穂花序というものが仏炎苞という構造に包まれて
いる。雄花には雄しべだけがあり、雌花には雌しべだけがある。
 花が咲かない株は無性と考えられる。
 雄花が咲く株は雄、雌花が咲く株は雌だ。
 株が小さい間は、花は咲かないが、あるときから、雄花が咲くようになる。すなわち、
雄になったのである。
 しかし、その株が翌年には雌花を咲かせることがある。このときは雌なのだ。
 このように、無性→雄→雌と変化していく流れがある。
 この流れは実は一方向ではなく、雌が雄に戻ったりすることもある。
 実は雄花が咲くか、雌花が咲くかの違いは、球茎の重さで決まるという研究があるとい
う。重さが21g以下では雄、21g以上では雌になるというのだ。
 ある時に球茎が育って雌になっても、実を作ることで栄養を減らすと、翌年は雄になる
こともある。
 すなわち、「栄養が十分にあるときは、雌になって種子を形成し、栄養が不十分なとき
は、雄として遺伝子だけを受け渡す存在として一年を過ごす」と考えると理解しやすい。
 このように考えると、マムシグサの変化には意外に合理性がある。
 性が一生の間に不変であることが当たり前だと思うのは単なる固定観念かもしれないこ
とを知っておきたい。
                   (栗田昌裕。050826記)

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