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クロベンケイガニ(Holometopus dehaani)はイワガニ科のカニで宮城県以南に住む。
甲の大きさは幅で3−4cmある。
44番で紹介したイワガニ科のアカテガニは、産卵から幼生のときのみ海の中で生活し、
それ以外は、主に陸上で生活をするようになったカニであった。
同様に、クロベンケイガニも、主に陸上生活をする。河川敷などに巣穴を掘って住む。
このような陸上生活をするイワガニ科のカニたちは、呼吸戦略に特別な工夫を持ってい
る(人間の場合は、鰓がなくなって、肺が発達していることに注意。細かく言うと、子宮
の中で水中生活をしている胎児の時代には鰓構造を持っている。しかし、誕生するまでに
それは消え、誕生直後に肺システムが操業開始をして、空気呼吸に移行する。人のこの仕
組みもすごい工夫であることを自覚してほしい)。
クロベンケイガニは、以下の順番で水を循環させて酸素を取り込む:
「1)鋏脚(一番前方の脚)の付け根[甲羅との隙間]から水を取り込む。
2)その水から、鰓と房状の呼吸補助器官でガス交換をする。
すなわち、酸素の取り込み、二酸化炭素の排出をする。
3)水を、口の上の孔から外に出す。
4)その水は頬の上を流れ落ちる。
頬では、酸素がとけ込み、二酸化炭素が放出されやすいように網目構造をしている。
5)流れ落ちた水を再度、鋏脚の付け根から取り込む」。
以上の仕組みで、体内と体外で水を循環させて、その間に酸素と二酸化炭素のガス交換
を巧みに行う。人間の場合は、空気を吸い込んで、肺胞の膜を通して、一気に酸素と二酸
化炭素の交換をするのだが、カニの場合は、2カ所で酸素と炭酸ガスの交換が行われてい
る。
カニの場合、泡吹きという現象が知られているが、これは循環する水が不足すると、粘
調度が増して、泡ができるのである。
いろいろな呼吸戦略があるものだなあ、と、ちょっと感心できたら、固定した知識の枠
が少し柔軟に広がったことになる。
(栗田昌裕。050905記)
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