22■ウマノスズクサ: 虫を幽閉して利用する花粉媒介戦略(050801)
  ・・・ウマノスズクサは驚くべき花の仕組みで雌期と雄期を使い分けて
  受粉をする
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 ウマノスズクサはウマノスズクサ科ウマノスズクサ属のつる植物である。
 その一般的な知識と画像は3D植物園の第327番を参照されたい。
 ウマノスズクサは何とも巧みな受粉戦略を持っている。
1)<概略>
 花は細長いパイプ状の構造をしている。
 その先端部から硬い毛が内側に向かって密生している。
 いったん入った虫は外に出ることができない。
 虫がパイプ構造の根本の球状構造の中で動き回るうちに受粉が完成する。
 やがて、硬い毛が脱落して、虫は外に出ることができる。
 以上が受粉の概略である。
2)<詳細>
 ここをもう少し細かく時間的な経過で眺めると、雌期と雄期という二段階の戦略を持っ
ていることが分かって驚く。以下は詳細である。
 雌性先熟という性質があり、最初は雌期である。
 このとき、くさい匂い(糞や腐肉の匂い)で小型のハエを誘い込む。
 ラッパ状の管から中に入ると、その先に球状の部屋があり、そこには六つに別れた柱頭
があり、そこで既に他の株で花粉をつけて来たハエは受粉をすることtなる。
 この時点では、その株の雄しべはまだ柱頭の裏に隠れていて、ハエはその株の花粉には
接触しない。したがって、植物は、自分の雄しべで受粉することはない。
 以上を雌期と言う。
 やがて、雄期になって、雄しべが成熟すると、柱頭は立ち上がり、柱頭の裏側に隠れて
いた花粉がハエにつくようになる。
 なんとこの時期には、雌期には逆毛で出られない状態だったのに、筒のその毛は萎縮し
て、ハエは外に出られるようになる。
 ハエはこの株の花粉をつけて、他の株に飛んでいって、新たな受粉を成立させるのだ。
3)以上のような仕組みを知るにつけて、植物の賢さにひたすら驚くばかりである。
                   (栗田昌裕。050801記)

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