23■クスノキ: 一面に脆弱さを持つことが巨大樹の長寿戦略(050802)
   ・・・クスノキは折れやすさで自分を守っている 
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◆ クスノキはクスノキ科クスノキ属の樹木である。
 その一般的知識と画像は、3D植物園の第330項を参照されたい。
 「クスノキは日本の巨樹の代表で長寿で芳香を発する」というタイトルである。

◆ さて、台風の直後に近くの公園を歩いて見ると、クスノキの枝が折れて落ちている場
面に出会うことができる。台風でなくとも、少し強めの風が吹いたときも同様の現象が起
きる。
 これはクスノキが「意外にもろい」樹木であることを示している。
 すなわち、クスノキの枝は、決して堅牢ではなく、事があるとすぐに折れてしまうので
ある。ところが、全国の巨木調査をしてみると、上位十傑はクスノキが占めてしまう。
 これは、「もろいけれども長生きである」ことを示す。

◆ このことは、実は、「もろいからこそ長生きできる」ととらえ直すことが適切なのか
もしれない。強風が吹いたときに、小さい枝が折れることで、クスノキの大樹は、風の抵
抗を減らす機会が得られる。すなわち、枝を犠牲にすることで、幹を守っているとも言え
るのだ。実際に、クスノキとして、全国2位の巨木である熱海市の木宮神社の大楠は、過
去にさまざまな出来事でずたずたになった姿を示している。しかし、無数の被害を超えて
生きのびて来ているところがすごいのだ。

◆ とらえ方次第では、このような現象は、尻尾を捨てて本体が逃げる「とかげの尻尾切
り」の現象にも似ているように見える。
 生きのびるためには、「全体として強いことよりも、一部のもろいところを犠牲にして、
中核を残すことの方が有効だ」という例として印象に残すべきである。

追記: クスノキは、もしかしたら、いったん自由に枝を伸ばしてみて、風によって抵抗
が大きい枝が折れることを通じて、結果としてもっとも生き残りやすいシェイプ(樹形)
を作り出す戦略を採用しているのかもしれない。つまり、風と相談しながら適応しやすい
樹形を生みだしているのかもしれないのだ。
 このことは、樹木の形に、風がかなり大きい影響を与えている、という一般論を知って
いると、理解しやすいだろう。
 屋久島の杉は、非常に樹齢が長く太いものがたくさんあるが、実はねじくれた形をした
ものが多い。これも風の影響であると言われている。
[参考記事]
● 全人会ニュース第298号、2000年5月8日号、「樹木法(124)環境法(36)全国の
巨木リスト上位10傑はクスノキがほぼ独占」、5p
                   (栗田昌裕。050802記)

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