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米国のカリフォルニア州を南北に走るシェラネバダ山脈沿いには、巨樹の森を特徴と
する観光地が何カ所もある。たとえば、セコイア国立公園がその代表だ。
ここでは樹齢3000年を超え、太さが数mを超え、高さも100mを超えるようなジャイ
アント・セコイア(スギ科セコイア属)の大樹に出会うことができる(世界最大の樹木で
あるシャーマン将軍の画像は、3D植物園の第322番と3D風景集の第110番を参照のこと)。
セコイアがこのような大樹になる理由の一つはその60cmにの厚さになる樹皮にタン
ニンという成分が多く含まれているからだという。
タンニンは、
1)樹木に疾病や害虫に対する抵抗力を与える(すなわち、腐食に強く、抗菌力がある)。
2)火災に対して難燃性を与える(すなわち、タンニンが多いと、燃えにくい)。
といった複数の役割を果たしている。
実際、巨樹の中には、山火事で燃えた跡を持ったものが少なくない。
この地方の樹木が自然火災に出会う度合いは、およそ20年に1回くらいの割合だとい
う。これは何千年も生きる樹木にとっては決して稀な出来事ではない。火災の引き金とし
ては落雷が考えられる。
実際には、ジャイアント・セコイアは、この火災を有利に活用している。
というのは、自らは、火災によって、燃えないような構造をしている上に、火災の熱で、
球果(松で言うと松ぼっくりにあたる実)が割れるような仕組みになっていて、そこで種
子を周囲にばらまくことができるのだ。
周囲の枯葉や下生えの木を焼き払って、陽当たりがよく、栄養条件がよくなったところ
へ、種子がばらまかれることで、次世代の繁殖を有利に行うことができる。
火災を活かして種子を放出するのは、前項(第10項)のバンクシアと同様の仕組みだ。
人間の想像を超えるような巨樹が育つ背景には、人間の時間の枠組みを超えるような
生存の戦略があることを知ると、巨樹の森を見る目が少し変わるかもしれない。
(栗田昌裕。050720記)
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---地球の生命体をもっと理解しよう---
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