11■セコイア:タンニンで何千年と生き延びる防御戦略(050720)
   ・・・ジャイアント・セコイアはタンニンで病気と火災から
     身を守って世界一の巨樹になる
一つ前のページに戻る
次のページに進む
  リストへ
HP表紙に戻る

 米国のカリフォルニア州を南北に走るシェラネバダ山脈沿いには、巨樹の森を特徴と
する観光地が何カ所もある。たとえば、セコイア国立公園がその代表だ。
 ここでは樹齢3000年を超え、太さが数mを超え、高さも100mを超えるようなジャイ
アント・セコイア(スギ科セコイア属)の大樹に出会うことができる(世界最大の樹木で
あるシャーマン将軍の画像は、3D植物園の第322番と3D風景集の第110番を参照のこと)。
 セコイアがこのような大樹になる理由の一つはその60cmにの厚さになる樹皮にタン
ニンという成分が多く含まれているからだという。
 タンニンは、
 1)樹木に疾病や害虫に対する抵抗力を与える(すなわち、腐食に強く、抗菌力がある)。
 2)火災に対して難燃性を与える(すなわち、タンニンが多いと、燃えにくい)。
といった複数の役割を果たしている。
 実際、巨樹の中には、山火事で燃えた跡を持ったものが少なくない。
 この地方の樹木が自然火災に出会う度合いは、およそ20年に1回くらいの割合だとい
う。これは何千年も生きる樹木にとっては決して稀な出来事ではない。火災の引き金とし
ては落雷が考えられる。
 実際には、ジャイアント・セコイアは、この火災を有利に活用している。
 というのは、自らは、火災によって、燃えないような構造をしている上に、火災の熱で、
球果(松で言うと松ぼっくりにあたる実)が割れるような仕組みになっていて、そこで種
子を周囲にばらまくことができるのだ。
 周囲の枯葉や下生えの木を焼き払って、陽当たりがよく、栄養条件がよくなったところ
へ、種子がばらまかれることで、次世代の繁殖を有利に行うことができる。
 火災を活かして種子を放出するのは、前項(第10項)のバンクシアと同様の仕組みだ。
 人間の想像を超えるような巨樹が育つ背景には、人間の時間の枠組みを超えるような
生存の戦略があることを知ると、巨樹の森を見る目が少し変わるかもしれない。
                    (栗田昌裕。050720記)

         ---SRSは美しい地球の能力開発---
          ---心の中の自然を育てよう---
        ---地球の生命体をもっと理解しよう---


一つ前のページに戻る
次のページに進む
リストへ
HP表紙に戻る